「仲が悪いとかじゃないんですけど、基本的に誰もお父さんとはあまり喋らない家でした」

 ラッパーで、Mr.マリックさんの娘としても知られるLUNAさんインタビュー。“超魔術”で一世を風靡したMr.マリックさんの「父親としての姿」とは? LUNAさんが10代で家出して、“マリックの娘”という立場から解放された「渋谷のギャル」時代の記憶とは?(全3回の1回目/続きを読む) 

Mr.マリックの娘で、ラッパーのLUNAさん ©原田達夫/文藝春秋

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「お風呂場は鳩だらけ」父親としてのMr.マリック

――LUNAさんは1980年生まれとのこと。小学校の頃にはすでにお父さんが「Mr.マリック」としてテレビに出て……?

LUNA ガンガン出ていて、ちょうどブレイクし始める頃ですね。うちは他の家と何かが違う、と気付いた頃でもありました。

 うちのお父さんは他のお父さんと比べると、全部が変わっていました。まず、スーツを着ない。朝は決まった時間に出かけるわけでもなく、家にいたりいなかったり。家では、お風呂場のドアを開けたら鳩がいっぱいいたりして。

――お風呂場に鳩? マジック用ですか?

LUNA そうなんです。お風呂場に入れていたのはフンをすると困るからなのか、鳴き声がうるさいからなのか、手品用の白い鳩が5、6羽密集してクルックーとか鳴いてるんですよ、怖いですよね。

 その頃はまだブレイク前で、○○荘という名前の激狭アパートだから、お風呂場も激狭なんです。そして、大体お風呂場が“危ない”場所なんですよ。

――危ない?

LUNA ドアを開けたら、お父さんが服のまま浴槽に浮いてたこともありました。何かと思うじゃないですか(笑)。それはたしか『なるほど!ザ・ワールド』の企画で、アフリカの川に行くことになって、そこで披露する何かの練習だったらしいんですけど。

――マリックさんは、家で結構マジックの練習をしていたんですか?

LUNA めっちゃしてました。そのへんに指が転がってたり、曲がったスプーンが山積みになっていたり。ナイフで皮膚を切っても傷口がすぐに治るというマジックの練習で、自分で人体実験していた時には腕が血だらけになって、消毒液と絆創膏を探して家中大騒ぎになったこともありました。海外の魔術みたいなものにハマってた時期には、いろんなグッズがあったような……。