――実際、仮面夫婦生活は穏やかに過ごせましたか。
楠 いえ、まったく(笑)。双方から慰謝料も取ったけど、それでキレイサッパリなんてことは全然なくて、フラッシュバックして泣くこともよくありました。
安定剤も飲んでいますけど、夫の方が「もういい加減にうんざりだ!」とかって、逆ギレするようになっていましたね。
私、今も心療内科に通ってるんです。夜寝れないと鬱になりやすいと聞いたので、睡眠薬を手放せなくなりました。不倫が発覚してから睡眠薬を飲まずに寝た日って、コミケ後でクタクタになった時くらいですね。
「地獄に落ちる覚悟でやってほしかった」元夫と愛人の最も許せない部分とは?
――そんな中、今年無事にというか、離婚をされて。
楠 離婚する時に夫から、「俺の3年間の頑張りは何だったんだ」って言われたんですけど、3年不倫しなかったから何だよ、と。あなたたち不倫した方は別れて終わったことになってるかもしれないけど、私にはあれが地獄のはじまりだったわけで。
――不倫を知らないままでいたかったと思うことはある?
楠 不倫が発覚して良かったとは思わないし、当たり前ですけど、一番は、本当に不倫なんかしてほしくなかった。元夫も愛人も、若い頃に結ばれなかった悲しい思い出で終わってほしかったのに、それが結局、黒歴史になってしまったわけで。
不倫するなら地獄に落ちる覚悟でやってほしかったですね。
――「地獄に落ちる覚悟」とは?
楠 不倫したくせに幸せになろうとしていたことが許せないんです。彼女を手に入れるためだったら、自分が持っているものすべて捨てる覚悟で土下座でもして、正直に「彼女と一緒になりたいから離婚してください」と言えば良かったんです。早くそうしてくれれば、私もまだやり直しがきいたかもしれませんしね。
でも、家族も家もすべて手放したくないからこそこそ不倫して、結局、愛人を捨てる方が楽だって気付いたんでしょう。不倫に美しいものなんてないですよ。
だから子どもからも軽蔑されるし、物書きの妻に晒されちゃうしね(笑)。
「お母さん偉い。よく頑張った」離婚後の子どもたちの反応
――お子さんが大学に受かったら離婚する取り決めだったそうですが、見事に合格した時の気持ちは?
楠 浪人したら延長かなとか思ってたんで、そこは良かったです(笑)。大学生になった長男に離婚を伝えたら、「おめでとう」って言ってくれました。あと、もし元夫が愛人と復縁したら、「お父さんを殴りに戻ってくるし、俺の方から絶縁してやる」と言ってくれて救われました。
長女も、「お母さん偉い。よく頑張った」と褒めてくれて。娘としては、お父さんが許せないならスパーンと捨てればいいのに、別れられないお母さんは格好悪いと思っていたのかもしれませんね。
周りの皆さんも離婚を「英断だ」と褒めてくれるのですが、正直、まだこれが正解なのかわかりません。今のところ人生の迷子です。
でも、漫画家としての人生は貫こうと誓いました。ですので皆さん、暴露漫画とともに楠桂の他の漫画もぜひ読んで下さいね(笑)。
写真提供=楠桂さん
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