ヒロインよりも、ヒロインの友達役が多かった
演技についてはホリプロに入ってから歌やダンスとともにレッスンを受け、あとから振り返ると、そのとき学んだことが自分の芝居の基礎になっているという。当時一緒にレッスンを受けていたなかには松山ケンイチや中尾明慶もおり、みんな同じ事務所の友達だけに、笑いを取ったもの勝ちみたいな空気があったようだ。木南によれば、《芝居をしていても、いかに変なことをして、笑いを取るかってことに集中しだして(笑)》、そのために来る役もヒロインではなく、ちょっとおちゃらけた感じのヒロインの友達が多くなってしまったという(『週刊文春』前掲号)。
NHKの連続テレビ小説に初出演した『風のハルカ』(2005年度後期)でも、村川絵梨演じるヒロインの幼馴染み役の一人だった。当時観ていた筆者の印象では、同じ幼馴染みでも水川あさみの演じる役は波瀾に富んでおり記憶に残っているのに、失礼ながら木南の役はあまり思い出せない。
「原作そっくり」と評価された映画が転機に
映画『20世紀少年〈第2章〉最後の希望』(2009年)でもヒロインのカンナ役のオーディションを受けたものの落ち(平愛梨が選ばれる)、カンナの友達の響子役で起用された。ヒロインに選ばれなかったショックを引きずりながら撮影に参加するが、現場では会う人会う人に原作マンガの響子そっくりと言われることになる。その声は映画公開後、一般にも広がり、木南の知名度は一気に上がった。
公開時のインタビューでは、《実はこの顔にはずっとコンプレックスもあったんです。目がギョロッとしているから、いつも驚いているように見られているのが嫌だったんです。でも、そんな顔だったから、いつもビックリしたり、ギョッとしてばかりいる小泉響子の役に抜擢されたんですよね》と感慨深げに語っている(『週刊ポスト』2009年2月13日号)。
以来、オーディションではなく依頼されて役を得ることが増えていく。彼女のなかではまた、《主役だとか脇役だとかにはあまりこだわらなくなって、仕事が楽しくなりました》という意味でも、響子の役は大きな転機であった(『婦人公論』前掲号)。
響子のキャラクターがわりとコミカルだったので、もっとコメディ作品をやりたいと原作者の浦沢直樹に話したところ、浦沢が親しくしている映画・ドラマ監督の福田雄一にさりげなく伝えてくれた。このおかげでドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』(テレビ東京系、2011年)にヒロインの役で出演が決まったという(『anan』2022年3月30日号)。

