「可愛いからって調子乗ってんじゃねぇよ」
――楽しんでいたのに残念でしたね。
シンディ お客様に気遣い、運転士さんに気遣い、先輩ガイドに気遣い、一生懸命やっているつもりでしたが、先輩ガイドにはバスの裏に呼び出されて、「お前、調子乗ってんじゃねぇよ。もっと目立たないようにしろ」ってやっぱり嫌われていました。子供たちが寄ってきてくれればくれるほど、先輩ガイドの舌打ちが聞こえてくる。
――ここでも女の戦いが。
シンディ 私だけじゃなく、私の同期まで一緒に先輩ガイドに呼び出されて、「桑原のせいで連帯責任だ。可愛いからって調子乗ってんじゃねぇよ」って言われていました。私は悔しくて泣けなかったですけど、私の過去を打ち明けていた1人の同期が私の横で嗚咽して泣いてくれたんです。この子のことはずっと大事にしていきたいと思いました。
実は、高校3年で手術をした時にも、メッセージを集めてくれたり、千羽鶴を折ってくれたりした子がいて、この2人は今でも大切な友人です。
――同性の親友を得られたんですね。
シンディ はい。この経験のおかげで、視野の広さと知識も得ることができました。
歯科助手とかけ持ちでキャバクラの世界へ
――その後、どんな職業に就かれたんですか。
シンディ 歯科助手やご高齢者様の送迎ドライバーとして働いている時、埼玉の大宮のキャバクラ嬢にスカウトされたんです。当時は、人気職業ランキング1位にキャバクラ嬢が輝いた時代。
私はちっちゃい頃からずっとディズニーのプリンセスに憧れていたけれど、なれる場所がなかった。
ドラマを観た時に思ったのは、ヘアメイクをして、ドレスに着替えて、きらびやかな世界とシャンパンに迎えられて——舞踏会みたいだと思いました。なので、「色恋営業はしない」ことを母親と約束して、歯科助手とかけ持ちで働きだしたんです。
――キャバクラ嬢として人気は出ましたか?
シンディ 天職だと思いました。入店してすぐにランキング上位に入ったし、お客様もすぐに増えて、歯医者さんで働いてから出勤したら、「私のお客様がもうこんなに来て下さっている!」という感じ。
バスガイド時代の経験が活かされた
――そうなるための秘訣を教えて下さい。
シンディ 私が自分で自信のあるところは“記憶力の良さ”と“視野の広さ”と“気遣い”なんです。全て過去の経験が生きているんですね。
バスガイド時代はすごい縦社会で、いわば大奥のようなもの。そこで鍛えられたから、例えばお客様のドリンクや煙草がないことにすぐに気づけるし、会話も盛り上げるし、誰かが出している「困った!」シグナルにすぐ反応できるんです。「いろいろ気が利くね」ってよく言われていました。
――細やかな気遣いが喜ばれたんですね。
シンディ お店で私がもうひとつ意識していたのが「他の子との違い」。他にやっていた子がいなかったから、私はバスガイド時代の経験をウリにしていました。
「バスガイドって何かエロいね」とか「運転士に誘われたりするの?」とか聞かれて、お酒の場は必然的に盛り上がるし、覚えやすいように源氏名も某観光名所にちなんだものにしていました。「何でその名前にしたの?」って聞かれた時に、想い出話ができるから。



