今年の多国間軍事演習「タリスマン・セイバー」では、陸海空自衛隊さらに豪軍も加わった統合衛生・治療訓練に、航空自衛隊の宇宙作戦群も初めて参加した演習も行われた。
さらに海上自衛隊からは輸送艦「おおすみ」に、陸上自衛隊水陸機動団、略して水機団も乗り込み、さらにさらに護衛艦2隻も加わり、陸海空自衛隊員総勢1500人が派遣されたのである。タリスマン・セイバーは2年ごとに米豪が主催し、豪州を舞台に開催される大規模多国間軍事訓練で、日米豪以外にも加英独仏印など19か国から3万5000人の将兵が今回は参加する。
日豪がともに牽制する共通の相手
その建前上の目的は、インド太平洋地域における安全保障環境の維持・向上のため参加各国の連携強化や運用能力の向上を図る……とされているが、不肖・宮嶋に言わせれば、中国への牽制であろう。力による現状変更を見え見え確信犯でやってくる中国のせいで、台湾の平和は風前の灯火、我が国尖閣諸島周辺海域も南シナ海もすでに実質中国の海である。
日本と違い、敵国が隣にない豪州とて、すでに周辺太平洋諸国は軒並み中国の借金漬け、あの習近平中国共産党総書記の言いなりで、当初親中政権だった豪州も、もはや手遅れ感は否めないが、その危機感は尋常でないはずである。
自衛隊と米豪軍が輸送艦「おおすみ」に集結
さて、12式地対艦ミサイルの実弾射撃後、演習の舞台はニュー・サウス・ウェールズ州からクィーンズランド州沖合の輸送艦に移り、続けられた。
海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」の広大な車両甲板や飛行甲板には、AAV7(水陸両用車)や陸上自衛隊車両やクリックと呼ばれるゴムボートさらに大小武器が立錐の余地のないほど積み込まれ、隙間を縫うように上陸を控え武装した日米豪軍将兵が動き回る。
その中で、いつも自衛艦で見慣れたブルーを基調とした迷彩服に交じり、見慣れぬコヨーテ色の上着と独特のブルパップ(機関部が小銃後方に配置された)方式のシュテアーAUG小銃で武装した豪軍海兵隊員、さらに濃緑色のつなぎに身を包んだ米海軍将兵、さらに陸上で見慣れるOD(濃緑色)の迷彩服に、排水孔のついたコヨーテ色の半長靴に身を固めた陸上自衛隊の水陸機動団員も多く見られた。さらに同じく陸自の迷彩服と「おおすみ」のスコードロン・キャップ(部隊帽)に身を包んだ「おおすみ」乗員の姿が目を引いた。
昨年元旦に起こった能登半島震災でも、この「おおすみ」は災害派遣され出動し、不肖・宮嶋も同乗した。




