読売は3面にデカデカと『退陣「まだ言えぬ」』と書いていた
さらにである。号外を出した翌日の読売朝刊(7月24日一面)では、石破首相退陣のタイミングが「加筆」されていたのだ。8月には広島と長崎の原爆の日の式典、15日の全国戦没者追悼式、20~22日には「アフリカ開発会議(TICAD)」への出席を予定しているとして、
《首相はこうした政治日程や日米首脳会談の見通しなどを考慮し、退陣やその表明時期を見極める考えだ。》
退陣表明は8月下旬になる可能性もさらりと書いていた。そうなると号外での「(7)月内にも表明」という見出しを思い出してしまう。あれは何だったのかというツッコミに備えてか、読売は3面にデカデカと『退陣「まだ言えぬ」』と書いていた。退陣は決まっているがまだ言えないだけというのだ。えええ、本当に?
さらに翌日の社説(7月25日)が面白かった。タイトルは『石破首相退陣へ 早期の表明で新体制構築急げ』。ここでも石破退陣は曲げていないが、冒頭に読売の心情と思える文章が書かれていたのだ。
《内政・外交の重要日程を前に、政権を投げ出すわけにいかないと考えているのかもしれない。》
石破はなんで辞めないんだ? なぜまだ退陣を表明しないのか? と読売は戸惑っているようにみえた。その心情が出ていると考えると味わい深い。さらに首相の8月の日程(アフリカ開発会議など)を社説でも書き出し、
《首相に近い議員は、正式な退陣表明は、こうした行事に出席した後になるとみている。》
いかがだろうか。ここでも退陣表明を8月下旬に軌道修正しているように読める。でもやっぱり速やかな退陣を迫るという、どこか焦りも感じる社説の内容だった。というわけで石破退陣表明の時期はちょうど今頃なのである。果たしてどうなるのか? 読売も毎日もドキドキしている8月末ではないか。
さて最新号の「週刊文春」に気になる記事があった。
『石破首相強気のウラに読売の“謝罪”があった!「まだまだやるべき仕事がある』(8月28日号)
記事では石破首相の強気の理由として、読売新聞グループ本社・山口寿一社長からの「謝罪」があったと報じている。
《その場で山口社長は、首相に『政治部はアンタッチャブルで、自分では制御がきかなかった』などと言って、『退陣へ』報道について釈明をした。併せて、戦後80年をテーマにしたインタビューを持ち掛けたようです。》
という「読売関係者」の証言を載せていた。※読売側は謝罪を否定。その後、抗議書を文藝春秋に送付し、謝罪と記事の取り消しを求めている。