「塾代を無駄にした」「マンションの中で笑われている、買い物にも行けない」「あんたなんて私の子どもじゃない」――春休みの間中、A子さんは息子を責めて怒鳴り続けました。

春になり、息子は公立中学で新しい学校生活を始めましたが、A子さんは息子の門出を祝うことはありませんでした。

入学式にもA子さんだけ出席せず、行事のたびに本命だった難関校と比べて、「あっちに受かっていればこんなことにはならなかった」「ばかな生徒ばっかり」と息子に向かって嫌味を言い続けました。

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さらに息子が「友達ができた」「今日学校で楽しいことがあった」と報告しようものなら、「出来の悪い人と友達になると高校受験に悪影響」と非難します。

「学校の名前すら見たくない」とボイコット

その一方、A子さんは熱心に情報収集を続けて、ある日塾のパンフレットを息子に見せました。いわゆる難関進学校の生徒たちが通う塾で、ここに通えば彼らと同じレベルの勉強ができるというのです。息子は不合格となった学校の生徒たちが通っているので行きたくないと言い、夫も反対したので、A子さんの希望は叶いませんでした。

夫はそんな様子を見かねたのか、土日は息子を連れ出すようになりました。登山に行ったり、一泊旅行に行ったり……。A子さんも誘われましたが、「高校受験でリベンジするんだから出かけている場合じゃない」と断り、息子に勉強するように言いました。夫と息子はそれを無視して、2人で出かけることが多くなりました。

また、A子さんは学校の保護者の集まりをボイコットするので、それも夫が出席するようになりました。学校の名前すら見たくないというため、学校からの連絡メールを受け取るのも夫のみです。

入学して日が経っても、A子さんは全く気が晴れないどころか、さらに不機嫌になっていきました。

「留学して根性を叩きなおしてもらえ」

そのうち、息子ははっきりとA子さんに反抗するようになりました。A子さんが何かにつけて「そんなことじゃ高校受験でリベンジできないわよ」と説教をするたび、「僕は公立高校でいい」「リベンジしたいわけじゃない。お母さんの言う通りにしたくない」と言うようになったのです。