高級魚とも言われる魚の正体とは…
場所を移動して仕掛けを投入するとすぐさま小刻みに揺れる。抜き上げると今度はカサゴではない長細い魚が釣れた。ダイナンギンポだ。
江戸前の高級魚といわれ天ぷらの食材に重宝されているギンポとほとんど見た目が同じだが、分類学上は遠縁種にあたる。ダイナンギンポはタウエガジ科、ギンポはニシキギンポ科なので同じように扱うとネット警察が飛んでやってくる。
しかし、味は食べ比べないとわからないほどダイナンギンポも美味しいと評価されている魚だ。今回の穴釣りはこの隠れ高級魚ダイナンギンポを狙って来た。
味のわりに釣り難易度は低く、堤防の足元を探ってもよく釣れる。多くの釣り人はその見た目からリリースするため、まだその真価が知れ渡っていない。
カサゴしか釣れない焦りを抱えていたが、ついにダイナンギンポの住処を見つけた。釣れた穴付近を丁寧に探っていくと、今度はより太くて長い個体が釣れた。
小さくてもオオカミウオを彷彿させる迫力のある顔つき。島の右側とは打って変わってダイナンギンポの生息数が多いようだ。
穴釣りは一つの穴に1匹の魚が潜んでいるイメージだったが、ダイナンギンポは最大で4匹まで連続ヒットした。複数の仕掛けで手広く探って良穴を見つけたらじっくり誘い出す。上天丼への道が切り開かれた瞬間だった。
トータル10匹のダイナンギンポを釣ってそのうち型の良い6匹を持ち帰った。国の史跡にも指定された和賀江島は800年の時を経て高級魚がザクザク釣れる穴釣り場と姿を変えていたのだった。


