5年前にスキルス胃がんのご主人を、最期は自宅看護で看取ったツレヅレハナコさん。さまざまなご苦労があったものの、「私たちの場合は、結果的に病院ではなく、自宅で看取れて本当によかった」といいます。自宅看護に踏み切ったきっかけや、大変だったことや嬉しかったことなどについて教えていただきました(#1から続きます)。

ツレヅレハナコさん

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夫の自宅看護をしようと思った理由

──新たな転移のため、胃の全摘手術ができず、また抗がん剤治療に戻りました。今度は副作用がきつかったそうですね。

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ツレヅレ それまで抗がん剤の副作用はほとんどなく、食欲も旺盛だったのが、新たに打ち始めた別の抗がん剤の副作用で、髪など全身の毛が抜けて食欲も激減し、もともと細身の人なのに体重が20㎏近く減ってしまいました。それでも自分のことは自分で行っていたのですが、ガクッと体力が落ちてきたので、再々入院することになりました。

──食事も摂れなくなり、胃ろうになったのはこの頃でしたか。

ツレヅレ 食べられなくなったので、胃ろうをつけ、身体には3本のチューブが入り、吐き気とだるさに悩まされる毎日でした。入院しているのにどんどん痩せてきて、それでも喋れるし、管を引きながら病棟内を歩いたりもしていました。

──自宅看護をしようと思ったのは、なぜですか。

ツレヅレ 亡くなる3カ月くらい前に転院したホスピス(緩和ケア病棟)が自宅看護を推奨しているところで、転院したその日から「自宅で看護する場合にやること」の指導を徹底的に受けたんです。私も初めての経験なのでびっくりしたのですが、調べているうちに、「できることなら自宅がいい」と強く思うようになり、両親や会社、友人らに協力してもらいながら自宅看護をする決意をしました。

 

──実際に自宅看護をするとなると、準備が大変だったのでは。

ツレヅレ 何をどうしたらいいかという細かいことは全部病院が教えてくれました。まず、介護保険を市役所に申請し、自宅で使う電動介護ベッドなどを月1000円くらいの格安でレンタルしました。それから、地元にある介護センターでケアマネージャーさんという指導官的な人を決め、近所から定期的に通ってくれる在宅対応の看護師さんと、お医者さん、在宅専門の薬局を決めて、スケジュールを組みました。自宅看護って、家で一日のんびり過ごすイメージだったのですが、とんでもない誤解でした。