「状況によっては試合を優位に進める」三振を恐れずにスイングした方がいい場面とは?
しかしメジャーの「三振も同じ1アウト」という考え方も、状況によっては試合を優位に進めることがあります。例えば1死一塁でゴロを打てば併殺のリスクが高まります。三振なら1アウトでも、併殺は2アウトとなってしまいます。
さらに言うと、2アウトで走者がいない場合も考えてみてください。長打力のある選手なら、1発や長打狙いでいいと思っています。2アウトから単打で得点するのは難しいためです。もちろん、四球や単打で出塁できれば、それに越したことはありません。
しかし、ホームランを打つ確率がある選手なら、その可能性に懸けてフルスイングした方が緊迫感も出て面白いし、相手バッテリーにもプレッシャーをかけることになるのではないでしょうか? こういった場面では三振を恐れずにスイングした方がいいと思っています。
ここまで述べると、皆さんは「また宮本は自分のプレースタイルと逆のことを言っているな」と思われる人もいるでしょう。その通りです。
「三振を恐れずにバットを振っていける打者が、価値のある打者」
私の現役時代の成績を見てもらえばわかるでしょう。プロ野球通算19年間で2162試合出場し、8486打席で三振は909個です。これは名球会に入っている方々の中でも少ない方です。でも、胸を張っていい数字ではありません。
四球数は398個。これは少ない数字です。本来、強打者であれば相手が勝負を避けます。当然、四球数は多くなります。
私の場合、三振が少ないのはカウントで追い込まれ、三振したくないから早いカウントから打っていくからです。特に8番を打っていた頃は、次の打者は投手です。1発などの長打力に乏しいので、相手バッテリーは四球で歩かせるのはもったいないと考えます。甘いコースに投げてもシングルヒットで済む可能性が高いわけです。
それなら四球より、ストライクゾーンで勝負しようとなります。それがこの成績を表しているわけです。こんな私が名球会に入れたのは優秀な打者だからではなく、守備が良かったから打席に立つ機会が多くなったということでしょう。
自己分析して、いつも感じていたことです。だから打者として評価を上げたかったり、チームの勝敗を左右する打者になりたいのなら、長打力を身につけることです。チームにおいては、三振を恐れずにバットを振っていける打者が、価値のある打者なのです。
