メジャーは「投高打低」を解消しているのに…三振数が減る日本で「投高打低」が問題視されるワケ
メジャーと日本球界で「投高打低」が始まったとされる年度から、1試合における三振率を比べてみましょう。メジャーに倣って、2005年からの数字を並べてみました。
これを見て、日本人の感覚だと不思議だと感じる印象を受けるのではないでしょうか?2005年から2009年までのメジャーは、1試合平均6個台だった三振数が、2010年から7個台に上がっています。そして2016年からは8個台にまで上がっています。
「投高打低」の時代から、時が経つにつれ、三振数が増えているのです。
一方、日本球界は2015年までは6個台で、2016年から7個台に突入していますが、2019年をピークにその後は5年連続で減少を続けています。
メジャーは「投高打低」が解消していく上で三振数が増えているのに、日本は「投高打低」が問題視されるようになってから減るという逆転現象が起きているのです。
長打ねらいより三振回避の日本スタイル
実際、メジャーでも「フライボール革命」が話題になり始めた頃、三振数が増えているのが問題視されていました。しかし、時代が進むにつれ「投高打低」は叫ばれなくなり、やがて三振数の増加を懸念する声も小さくなりました。
逆に日本は「投高打低」が問題視されるようになり、それを解消するために三振数を減らすような打撃スタイルが推進されたからでしょうか。
簡単にまとめてみます。メジャーは三振を恐れずに長打を狙っていって「得点力」を上げて成功。日本は「得点力」を上げるためにコンパクトな打撃スタイルを求め、三振数は減りましたが、「投高打低」の流れに拍車をかけたということです。
「三振も同じ1アウト」という考え方は、必ずしも正しいとは言えません。しかしその考えが、長打率を上げているのは明確です。
日本は「三振を嫌がる」という慣習から抜け出せず、「得点力」を上げるには「長打率を上げる」より、「三振をしない」という方向に進んでいるからだと思います。
「ちょっと違うんじゃないか」と否定する人もいるでしょう。しかし、日米の野球史が、それを証明しているのだと思います。
