年俸1億円が珍しくなくなったプロ野球界。その一方で、スター選手と呼べる選手がいない。そう指摘するのは、球界のご意見番こと江本孟紀氏だ。
選手たち以外にも、江本氏は球団や球場に詰めかけるファンたちにどこか「緩さ」が見えて、プロ野球から真剣勝負の迫力が失われつつあると指摘する。反対に昭和の時代は、選手とファンが真っ向からぶつかることも珍しくなかったのだ。江本氏の新著『ベンチには年寄りを入れなさい』(ワニブックス)から一部抜粋し、お届けする。(全3回の3回目/最初から読む)
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今、NPBにスター選手というのがいるだろうか。推定年俸でいえば、村上宗隆(6億)、近藤健介(5.5億)、岡本和真(5.4億)、坂本勇人・山田哲人・浅村栄斗(5億)、柳田悠岐(4.7億)、山川穂高(4.5億)、森友哉・有原航平(4億)らをはじめ、1億円を超える高額プレーヤーがごろごろいる。
はたしてこの選手たちが、スターと呼ぶにふさわしい活躍をしているだろうか。ケガに苦しむ選手あり、不調に悩む選手あり、明らかに力を落とした選手あり……その実情は頼りないとしか言いようがない。
日米格差の問題があるから、日本選手の年俸が上がるのは大変けっこうなことではある。だが、それぞれの高額年俸の妥当性には疑問がある。この年俸でこの働き、こんな緩いことでいいのだろうか……と思うのは私だけか。
