「ノータイムで、うんこを提案していました」
安部氏はもともと、アミューズメント施設の景品グッズを扱う都内のプライズメーカーに商品開発として就職。4年ほど勤めた後、2017年にバンダイへ転職した。2018年の分社化後はBANDAI SPIRITSに籍を置き、SDガンダムなどの商品開発に携わっている。
そんな安部氏が、なぜウンコスルデイズを立ち上げることになったのか。始まりは4年ほど前だ。当時安部氏は、子どもをターゲットにした、オリジナルシリーズの部内コンペに参加していた。動物をモチーフにした変形ロボットの企画をあたためていたという。
「同じコンペには、恐竜をテーマにしたプラモデル企画も提案されていました。最終的に『子ども向けとしては恐竜のほうが強いよね』ということになり、私たちのプロジェクトは見送りになったんです」
コンペの後、プロジェクトのメンバーとどんよりした空気で反省会を開いた。安部氏はチームの解散もやむなし、という態度で臨んでいたという。しかしその場で、40代中盤の先輩社員が「もう1回、何か考えてチャレンジできないか」と切り出した。「その瞬間、ほぼノータイムで『うんこはどうですか』と提案している自分がいました」と安部氏は振り返る。
うんこは普遍的な人気がある、強いテーマ
2017年発売の『うんこドリル』シリーズを中心に、確かに近年のうんこブームは目覚ましい。教育分野以外にもうんこ系の商品・サービスが展開され、中には「株式会社うんこ」なる企業も誕生している。
さらに、うんこミュージアムは海外にも飛び出した。うんこのニューウェーブは、間違いなく世界に広がっている。このような世相もありながら、安部氏がうんこのアイデアを提案したのは、自らの経験が大きかったという。
「当時、僕には2歳の子どもがいて、書店やおもちゃ売り場でうんこ・うんち系の商品がチラチラと視界に入っていました。『うんこミュージアム』へ遊びに行ったこともあり、子どもだけでなく、親御さんも一緒に楽しむ様子を見ていたのが大きかったかもしれません。
そうした経験もあって、普遍的な人気を持つ不朽のコンテンツとしてのポテンシャルを、うんこに感じていました。実際、前職で携わったプライズ景品の世界でもうんこ系の商品は根強い人気がありました。定番人気のキャラクターと同様、確実に人気があるテーマであり、そうした題材を当社が本気で扱えば話題性も込みで、ユーザーに楽しんでいただけるだろう、と」

