「ガンプラ」などを手掛けるBANDAI SPIRITSが7月、「うんこ」をテーマにした商品シリーズ「ウンコスルデイズ」を発売した。紙粘土を固めてうんこを作り、そこにプラ素材のパーツを挿して「格闘家うんこ」「アイドルうんち」「サイバー戦士うんこ」といった様々なキャラクターを作って楽しむ商品だ。
企画を主導したホビークリエイション部の安部豊氏は、数多の試作を重ねて「誰でも簡単にキレイなうんこを作れるか」「子どもが持ったときに嬉しいサイズ感か」「どうすればリアルすぎず、かわいらしく、より多くの人が楽しめるうんこにできるか」を追求したという。
もともと、子ども向けの新たなIPに関するコンペに「動物モチーフの変形ロボ」という企画を持ち込み、惜しくも敗れてしまった際の反省会で、まさかのうんこへと方針転換したところからウンコスルデイズの企画開発は始まった。そこから素材の決定や、サイズ感の調整などを経ていよいよ発売に向けた最終調整が始まっていく。(全2回の2回目/最初から読む)
偉い人のいる会議で、ひたすらうんこをプレゼンし続けた
企画が軌道に乗り始める中で苦労したポイントの1つが、ネーミングだ。ある程度企画が固まった後に臨んだ、部内で月に1度開催している商品化に向けたプレゼン会議でひと悶着があった。
この会議は「ガンダム」や「ポケモン」など人気の既存シリーズを含め、同部が発売を予定する全てのアイテムが議題にかけられるという、非常に重要なものだ。事業部のトップをはじめ、海外の販売会社に出向中の社員なども参加し、なかなか緊張感が漂う会議だという。そんな場で、まず安部氏はひたすらうんこのプレゼンを行った。
「もちろん、細かく資料を作り込んで万全の準備をした上で会議に臨みました。『今回の企画では、子どもが大好きな最強のモチーフでシリーズを立ち上げます。みなさん、なんだと思いますか? 恐竜? 乗り物? いえいえ違います——うんこです!』と(笑)。
辛かったのが、当時は会議が完全にオンラインだったんですよ。そもそもが結構ヘビーなふざけにくい雰囲気の会議なのに、参加者の反応もわからないまま、さも楽しそうなテンションでひたすら、うんこについて話し続けなければいけない。ある意味、苦行でした」
