「(陛下)ご自身も、『大変悩んだ時期がありました』とおっしゃられたので、私が、『何をお悩みになられたのですか』とうかがいましたら、『僕としては、雅子さんに皇室にぜひとも来ていただきたいと、ずっと思っているけれども、本当に雅子さんのことを幸せにしてさしあげられるんだろうか、ということを悩みました』と言われました。

 そのような皇太子殿下の真摯な、大変誠実なお言葉をいただいて、そういうお気持ちを私として大変幸せに思うことができました。私にできることでしたら、殿下のことをお幸せにしてさしあげたいと思った次第でございます」

1993年6月9日、結婚パレードでの皇太子さま(当時)と雅子さま ©JMPA

「常に雅子さんのことが念頭に」

 また、前述のように、雅子さまとのご結婚が一時中断されたことについて、「そのときのお気持ちはどうだったのでしょうか」と問われた陛下は、こう語られている。

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「この件に関しましては、チッソの問題もあって、宮内庁でも慎重論が出ておりまして、一時は中断することもやむを得ない状況ということになってしまいました」

「私としてはその間、常に雅子さんのことが念頭にありまして、『雅子さんでは』ということを何回となく宮内庁の方に申し入れをいたしました。そうは言っても、私自身の気持ちを大切にしたいと思いますけれども、周囲の意見、考えも大切にしたいと思っておりましたので、昨年、周囲の意見が『雅子さんでいい』というふうに固まった時には、大変うれしいものがございました」

1994年11月、サウジアラビア・リヤド郊外の「赤い砂漠」を訪れられた皇太子ご夫妻(当時) ©時事通信社

  “お妃探し”のスタートから約10年。1986年にスペイン王女を歓迎するレセプションで初めて雅子さまと出会われてから約7年の歳月を経て、理想の相手と夫婦となることが決まった陛下は、喜びに包まれていた。


※参考文献:『新天皇家の自画像』(文春文庫)など

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