司会を務める『徹子の部屋』が今年2月に放送開始50周年を迎えた黒柳徹子さん。NHK専属のテレビ女優第一号としてデビューし、テレビ、ラジオ、舞台女優のみならず、ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』の執筆、ユニセフ親善大使など、幅広い分野の第一線で長年にわたり活躍してきた。

 そんな徹子さんが、幼い頃から人生のさまざまな場面で大切に受け取り、励まされてきた「二十四の名言」を辿る、書き下ろし自叙伝『トットあした』(新潮社)より一部を抜粋して紹介する(全4回の1回目/続きを読む)。

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松田聖子が「青い珊瑚礁」を羽田空港で歌った「ザ・ベストテン」

「ザ・ベストテン」を作りあげた山田修爾さんは、飛行機マニアだった。その趣味がよくあらわれていたのは、あの番組で毎週の歌の順位を発表する黒の得点ボードで、あれはもちろん、行き先や出発時間などが回転して出てくる、空港のフライトボードを模したものだ。修爾さんが、「みんなが、あんなに期待や夢を持って、注目するものは他にない!」と力強く主張して、あの形になった。

黒柳徹子 『トットあした』(新潮社)より

 ロケでも、新幹線の車内で中森明菜さんが(周囲の迷惑にならないように)小さな声で歌うとか、名古屋駅のプラットホームで中山美穂さんが歌った時は、停車時間内で終わらなくて、マイクを持ったまま、新幹線に乗り込んでドアが閉まり、そのまま歌いながら発車してしまったとか、さまざまな挑戦があったけど、私たちの間でいちばんの語り草になったのは、松田聖子さんが羽田空港の滑走路で、飛行機をバックに「青い珊瑚礁」を歌ったことだ。そんなことを思いついたのも、もちろん、修爾さんだった。