〈あらすじ〉
パリで暮らすティボ(バンジャマン・ラヴェルネ)は、世界的なスター指揮者。ある日、練習中に倒れ、白血病と診断される。骨髄移植が必要だが、実は母とも妹とも血のつながりのない養子である事実を知らされる。また、生き別れの弟がいることも。ティボは、さっそくフランス北部の田舎町に弟のジミー(ピエール・ロタン)を訪ねていくが、やはり何も知らなかったジミーは最初、兄を拒絶。しかも2人は性格だけでなく、暮らしぶりも全く違っていた。幼い頃からピアノを習い、現在では米国の楽団の音楽監督、作曲家、指揮者として世界中を飛び回っているティボ。一方、ジミーは学歴もなく、地元の学食で働いていた。
やがて、ジミーの協力によって快癒したティボは、地元の吹奏楽団でトロンボーンを吹いている弟の姿を見て、彼にもまた、音楽の才能があることに気づく。
〈見どころ〉
ベートーヴェン、モーツァルト、ドビュッシー、ラヴェルなどのクラシック、さらにシャルル・アズナブール、ダリダなど古今の名曲が物語を彩る。
生き別れた兄弟の思いがけない再会
フランスで260万人動員、3週連続No.1ヒット、セザール賞主要7部門ノミネート、各国の映画祭でも絶賛された注目作。傑出したストーリーテラー(脚本家)としても評価の高い監督が描く、笑いと感動のドラマ。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆手堅い演技と落ち着いた語りが最後まで破綻しないが、逆にいうと、驚きはほとんど感じられない。生き別れだった兄弟が難病を通して再会する設定も紋切型だし、映画にしか作り出せない空間のドラマや情感が見当たらない。
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斎藤綾子(作家)
★★★☆☆冒頭からの展開が早く、オーケストラの演奏も美しい。幼い頃に生き別れた兄弟の必死の再会も心が温まる。だが物語が暗転するや、お涙頂戴の展開に。あの結末で感動を期待されても困惑。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆ベタな感動作のだらしなさを適切に回避した抑制に好感。異なる社会階層にいる者同士の出会いは『最強のふたり』を受け継ぐ枠組みながら、兄弟の宿命性を巧く爽やかに活かした。同じく炭鉱町が舞台の『ブラス!』も連想。
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洞口依子(女優)
★★★★☆音楽は偉大。ボレロの旋律が昂る終盤、直球に心の奥に響き思わず号泣。誰が死ぬとか解雇されるとかじゃなく、医療や労働における相互扶助、友愛の芽生えを主人公のコンビ、炭鉱のマーチング楽団が見事な調和へ持ってゆく。
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今月のゲスト
柳亭小痴楽(落語家)★★★★★ティボとジミーのおおらかな人柄や音楽との向き合い方からクラシックを通して“音楽”というものの楽しみを味わうことができた。ほっこり笑いが多く終盤には涙が止まらず、クライマックスには大感動が待っていた!
りゅうていこちらく/1988年、東京都生まれ。落語家。若手真打の一人としてメディアでも活躍中。著書に『令和の江戸っ子まくら集』など。 次の独演会は、9月19日(金)「柳亭小痴楽 全国ツアー カチコミ’25」東京・なかのZERO 小ホールにて。
- 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
- おすすめできます♪★★★★☆
- 見て損はない。★★★☆☆
- 私にはハマりませんでした。★★☆☆☆
- うーん……。★☆☆☆☆
©2024 – AGAT Films & Cie – France 2 Cinéma 配給:松竹
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『ファンファーレ!ふたつの音』
監督・脚本:エマニュエル・クールコル(『アプローズ、アプローズ!囚人たちの大舞台』)
共同脚本:イレーヌ・ミュスカリ
2024年/仏/原題:En Fanfare/英題:THE MARCHING BAND/103分
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
https://movies.shochiku.co.jp/enfanfare/




