「パァーッと上から火花が散った」

 ペーによれば「三平師匠の写真は仏壇の枠の外にあった」という。

「油に水が入ると火花が飛び散るじゃないですか。ああいう感じでパァーッと上から火花が散ったんですよ」(パー子)

 ペーは襟にピンクの猫の柄があしらわれた白シャツにピンクのパンツ姿。パー子は薄ピンクのバスキャップを被り、ピンクのスーツ上下にピンクのTシャツを着ている。

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©文藝春秋

「これ、着の身着のままなんですよ。三平の法事から三日間、同じのを着ている。(パー子を指し)実はこの人ね、つい今まで着の身着のままでパジャマだったんですよ。頭もそのままです」(ペー)

「何も着るものがないんでね。衣装がたくさんあったんですけど」(パー子)

クローゼットの中にピンクの衣装

 そうして二人は自宅の中で燃え残ったものを捜索する。クローゼット内にピンクの舞台衣装が数着残っているのが見えた。

 ペーは、クローゼット内の衣装を手で探りながら、「ああ、けっこうこの辺はまだ、大丈夫かな」と呟く。

 この日、ペーはこの後、浅草演芸ホールでの寄席の初日の公演を控えていた。

「(火災後)きれいなのだけ(焼け残った衣装を)チョイスして持っていったんです。お兄ちゃん(パー子のペーに対する呼び名)、ね。シミはついてますけどなんとか着られるのが8枚か10枚ぐらいあって、それを洗って、今、乾かしています」(パー子)

「コインランドリーで4000円かけて洗いました」(ペー)

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 部屋の捜索は続く。

 ペーは棚の上にある黒く煤けたファイルに手をかけると、こう説明する。

「ここに名刺があるけど、僕は名刺を集めるのが趣味だから。だいたい200枚あるんだよね」