馬鹿にされることがある種の勝ちだと思った
――すごい。それはもうものまねじゃないですよ。寝たきりだった反動もあって、おそらく、クレヨンしんちゃんになっちゃってる。
冬休み うん、なっちゃってるんだと思う。どうしてこんな風に考えるようになったのか記憶をたどるとね、高校生のときに、一学年上の先輩がいじわるな人で、よく私の背中を針でつんつんしていたんです。全校集会のときに、「加藤、お前の名前が呼ばれたときに変なことやれよ」って言われたんです。「やんなかったら針で刺すからな」って。加藤めぐみって呼ばれたとき、私は「うおーい!」って言ったの。そしたら、全体が大爆笑。
それからなんですよ。そういうことに対してアドレナリンが出るようになったのは。ウケたいとか楽しませたいの次元じゃなくて、「お前バカ?」って言われると、「フォー!」って血が騒ぐ(笑)。馬鹿にされることがある種の勝ちだと思ったんです。お前は呼んじゃいけないものを呼んだぞって。ウケなくても飛び込み営業を続けられたのは、そういうマインドだからだと思いますね。
――それだけ強いメンタルを持っていたにもかかわらず、挫折してしまうんですよね?
冬休み 飛び込み営業だから楽屋なんてない。それで、らせん階段の踊り場でクレヨンしんちゃんの格好に着替えていたんです。水滴が頭に落ちてきたから、「雨かな」って上を見上げたら、上の階の踊り場で酔っ払いがおしっこをしていた。その人は、下に私がいるなんて思ってないから、気持ちよくおしっこをしている。12月15日でした。忘れもしない。
そのまま拭ってショーをやりました。その後、お店の女の子の体調がすぐれないということで、私はトイレまでついていって、背中をさすってあげたの。そしたら、翌日から私も体調が悪くなって、病院へ行ったらインフルエンザだった。すべてがやんなっちゃった。

