「ボーカル(ロジャー・ダルトリー)は悪ふざけなら何でもやる。ドラマー(キース・ムーン)はあり得ないほど変わった男だし、ベース(ジョン・エントウィッスル)は常に無関心。まったく大変だよ」

 そう語るのはギターのピート・タウンゼント。何だかRCサクセションの『ドカドカうるさいR&Rバンド』で「まともな奴は おれしかいねえぜ~」と叫ぶ忌野清志郎を思い出す。でも実はそれって遠回しなバンド賛歌なんだよね。別のところでピートはこう語っている。

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気の合う悪ガキどもがツルんで始めたバンド

「そもそも俺たちは小さな家族だ。全員とんでもなくタチが悪かった。今もワイルドだ」

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 気の合う悪ガキどもがツルんで始めたバンド。それが予想を超える成功を収め、ビートルズ、ローリング・ストーンズと並び称されるロックスターになった。ザ・フー全盛期の演奏を満載したこの作品は、同時にメンバーのインタビューや普段のしぐさを通し、類まれなロックバンド賛歌に仕上がっている。群を抜いたロック・ドキュメンタリーだ。

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 先陣を切るのは初期の大ヒット『マイ・ジェネレーション』。「老いる前に死にたいね」と歌うロジャー。「それは本心だ」と語るピート。先の人生はわからないもんだ。

 ザ・フーはまさに“ドカドカうるさいR&Rバンド”。とにかく音がデカい。キースのパワフルなドラム音が尋常じゃない迫力で響くから、ギターもベースもアンプの音量を上げて張り合う。ロジャーは語る。

「最悪のロックバンド。俺たちにピッタリの言葉だ。こんなうるさいバンドは他にない」

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 ピートは大音量に隠された意図を明かす。

「演奏の音が大きくなるのは、耳を傾けない客が多いからだ。音が大きくなるほど客は耳を塞ぐから、演奏はなおさら大音量でやる。パワーと音量が大事なんだ」