ボディビル界のスターが俳優に転身した3つの理由

――あらためて俳優を志した理由を教えてください。

相澤 大きくは3つあります。1つは、もともと俳優をやりたかったということ。2つ目は、ケガです。僕はボディビルを10年以上やっていて、日本で一番大きな大会で優勝もしたのですが、高校生の頃からずっとケガを抱えていました。手術もしたのですが、競技を続けるのは難しくなってしまった。そして3つ目が、娘が生まれたことです。自分は親から愛をもらって育ってきたことを改めて感じて、今度は自分がそれを与える側になったんだなと。娘の誕生は、生きるとは何か、人生についてすごく考えるきっかけになりました。

撮影:山元茂樹

――その3つが重なった。

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相澤 ええ。ここが人生のターニングポイントだなと感じたんです。もともと、自分の中には「命をなくす時に、後悔はなかったといえる人生を歩みたい」という、すごく大きな目標があるんです。ボディビルはとことんやって結果も残せたので、次のステージに行ってみたい。そして、その姿を娘に見せていくことで、彼女にも刺激になるのではないかと思っています。

――勇気がいる決断だったのでは。

相澤 そうですね。勇気はいりましたし、今でもSNSなどで否定的な意見をいただくことはすごく多いです。尊敬するアーノルド・シュワルツェネッガーが、彼のドキュメンタリー『アーノルド』(Netflix配信中)の中で、やはりボディビルダーから俳優に転身したときに様々な批判を受けたことを語っていました。「筋肉がでかすぎて俳優はムリだ」といったことですね。でも、彼はそんな声を気にせず、彼にしかできない役を演じる俳優になった。僕もキャラクターがあるからこそ、色々と言われるのだろうと、むしろ前向きに受け取っているんです。

撮影:山元茂樹

――俳優として、何かあてがあったわけではないそうですね。

相澤 全くないです。基本、オーディションを受けていますが、落ち続けています。「君、面白いね」とは言われるんですが(笑)。体型が役として合わないこともありますし、もちろん演技力も足りない、ということで。まだ「惜しかった」と心から言えるレベルにすら行けていないのが正直なところです。