旧片町駅まで歩いていくと…
寝屋川沿いの道を歩いてゆくと、上空を跨ぐ陸橋を仰ぐことになる。
京阪電車の京橋駅からJR京橋駅への連絡通路を経て、寝屋川を渡ってその先の大阪ビジネスパークまで繋がっている。
その名も大阪城京橋プロムナード。寝屋川の対岸を見ると、大阪ビジネスパークの高層ビルが林立している。このあたりも、京橋の町を構成する一角ということなのだろうか。
などと考える間もなく、すぐに片町駅の跡に着いた。
駅が廃止されたのは1997年、つまり30年ほど前のこと。だからいくらかは痕跡が……と思ったら、あらびっくり。
そこに駅があったなど、まるきり想像も及ばないほどに、30年足らずのうちに町は変貌していた。
駅舎の跡は洗車場に生まれ変わり、片町駅というターミナルの存在を伝えるようなものはまるで残っていない。
近くの道路脇のフェンスに説明書きが括り付けてあったが、道行く人は誰ひとり目に留めない。
たった30年前といっても、激動の30年。そんな昔のことなんて、誰ももう覚えていないか、興味もないのだろうか。
もはや跡形もない旧駅前
変貌を遂げた片町駅跡の前に立ち、周囲を見渡す。やはりここが駅前だった時代があったとは思えない。
目の前の城見通にはひっきりなしにクルマが行き交い、片町東・片町の交差点の周囲には飲食店も軒を連ねる。
いくつものビルが建ち並び、片町橋の上からは大阪城の天守もチラリ。ごくありふれた、大都市・大阪の中の風景であった。
そんな中、気になることがひとつある。
片町駅の駅舎があったあたりから京橋駅にかけての一帯が、ほとんど空き地になっているのだ。






