大阪に、京橋という駅がある。
外から見れば、大阪を代表するターミナルといえばキタの大阪駅・梅田駅、またミナミの難波駅といったところがまずいちばんに挙がる。が、京橋駅も負けず劣らずのターミナルだ。
乗り入れているのはJRが大阪環状線と学研都市線、JR東西線。他に京阪電車と地下鉄長堀鶴見緑地線がある。
大ターミナル「京橋」の陰で…
地上の一番南側にJR東西線と直通する学研都市線のホームがあって、その上を南北に跨ぐ大阪環状線の高架ホーム。さらにそれを跨ぐ京阪電車。地下鉄も含めれば、地下2階から地上4階までの重層構造だ。それだけでも圧倒的なターミナルらしさを感じさせる。
お客の数もそうだ。JR西日本では大阪駅・京都駅・天王寺駅・三ノ宮駅に次ぐ第5位、京阪ではなんと全駅の中で1位に君臨する。京橋は、数字の上でも紛れもなく大阪を代表するターミナルのひとつといっていい。
キタ・ミナミになぞらえるならば、さしずめ“ヒガシ”のターミナルといったところだろうか。
駅周辺、町の様子もそれを裏付けてくれる。京阪のホームに覆い被さるようにして、京阪の駅ビル商業施設・京阪モール。他にもコムズガーデンという名の地下街があったり、南東部には高層マンションが建っていたり。
東側の一帯は細い路地が入り組んで、いささか卑猥なお店も勢ぞろいするような、昭和の残り香が漂う歓楽街だ。京橋グランシャトービルは、かつてナイトキャバレーなども入っていた京橋歓楽街のシンボルだ。
とにもかくにも、京橋駅は外から見たときに存在感は薄くても、押しも押されもせぬ大阪を代表するターミナルなのである。
そんな大阪第三のターミナル・京橋。実は、その成立の裏にはひっそりと歴史の向こうに消え去った幻のターミナルが存在していた。
消えたターミナル「片町」には何があったのか?
幻のターミナルの名は、片町駅という。1997年、学研都市線(片町線)とJR東西線の直通運転が開始するのに合わせて廃止された。
それまでは、学研都市線の大阪方のターミナルが片町駅だった、というわけだ。
片町駅は京橋駅のほんの少し西側の寝屋川の畔、城見通の片町橋の北詰にあった。京橋駅から歩くなら、寝屋川沿いを10分弱といったところだろうか。






