――その痛恨の敗北から、どう立ち直ったんですか?
テスタ しばらくはへこみましたが、基本的にポジティブな性格なので徐々に冷静になっていきました。たしかに1億は負けたけど、前年は1億3000万くらい勝っていたから、それを失っただけ。なんなら3000万残っているなって考えるようにしました。
――1年で勝ったぶんを吐き出しただけだ、と。
テスタ 考えてみたら、1年前の時点では総利益が6~7億くらいになって、めちゃくちゃハッピーな気分だったわけです。その頃に戻っただけなんだから、そこまで落ち込む必要はないんじゃないかって思うようにしました。
あとは、反省して同じ過ちを繰り返さないようにする。この年はプラスにすることを諦めて、無理に取り返そうとするんじゃなく、初心に戻って自分の得意なデイトレを中心に据えてやり直そう。そういう風に考え直したら、結果、半年もかからずに1億を取り返せました。
――同じ銘柄で取り返してやろうと熱くなって、傷口を広げてしまうという話はよく聞きますね。
テスタ それを考えたら危ないので。1年前の精神状態に戻して、得意なことをコツコツやりながら、ファンダメンタルズ分析(経済成長率や企業の業績・財務状況を分析して株価を予想する手法)とか、中長期のトレードについて勉強していきました。
「パチンコで毎月勝てていた数十万円を捨てて株を始めたから、月数百万単位で稼げるように」
――さくらインターネットの件は、トレードの手法を変える過程で起きた失敗だったわけですが、得意技を捨てて新しい手法に取り組むことに抵抗はありませんでしたか?
テスタ 毎年1~2億の利益でいいなら、同じやり方で積み上げていけばいいんですけど、何十億という世界にするには、特に個別株のトレードの場合はやり方を変えないと難しい。ステージを変えるなら、そのステージに合ったスタイルを身に着ける必要があるんです。
これはどんな分野にも当てはまると思うんですけど、新しいことを始めるには、何かを捨てて踏み出さないといけないですよね。僕の場合で言うと、パチンコで毎月勝てていた数十万円を捨てて株を始めたから、月数百万単位で稼げるようになりましたし。
――たしかに、パチンコで月に数十万円稼げていたら、それで満足してしまう人も多そうです。
テスタ 東京に出てくるときも同じです。株にさらに打ち込むために、居心地のいい地元を離れて家賃の高い都心に住んで、自分にプレッシャーをかけた。でも、ダメだったら2年で帰ろうと思っていました。
大事なのはやってみること。やってダメなら戻ればいいし、ダメだった経験も、その次に絶対に生きるはずなんで。僕自身、株がダメだったらパチンコに戻ればいいし、中長期トレードがダメだったらデイトレに戻ればいいって考えていました。向いているか向いていないかは、やってみないと分からないですからね。

