――上京するときも、ダメなら2年で帰るという考えがあったんですね。
テスタ 東京に出てきて、失敗して、すっからかんになる可能性もあるわけじゃないですか。だから資産が5億円くらいになったときに、今ある5億を少しずつ切り崩して、地元でのんびり暮らしたほうが賢いんじゃないかっていう思いも正直ありました。
でも、そっちを選んでいたら、それより上は目指せない。だから、今の環境を捨てる決断をしました。ダメなら帰ってくればいいし、それか、沖縄に移住してのんびり暮らそうかなって思ってました(笑)。
――現在はご自身のトレードスタイルを「雰囲気派」と表現されていますが、これは具体的にはどういうことでしょうか?
テスタ 雰囲気って言うと、勘みたいなものを想像されるかもしれないですけど、そうじゃなくて。ひと言で言えば「市場の雰囲気を読む」みたいな感じです。今は強気(上昇しそう)だとか、今は弱気(下落しそう)だとか。そうした気配はチャートに現れるので、それを感じ取るというイメージです。
株価って自分が決めるわけでも、企業が動かすわけでもなく、参加している投資家の多数決によって決まるんですね。自分がどう思うかは関係なくて、自分以外のトレーダーの総意で株価が形成されていく。その動きに、乗っかっていくことが大事なんです。
「東大出身のようなものすごく頭が良い人って、投資で成功するのは意外と難しい」
――テスタさんが予測しているのは株価そのものではなく、テスタさん以外の大勢の投資家の動きということですか?
テスタ 例えば、ある会社のニュースが出たとして、自分はすごくポジティブな内容だと思ったのに、株価が全然上がってこない。ということは、自分以外の多数の投資家はポジティブだと思わなかったわけです。
それで言うと僕は、東大出身の方のように、ものすごく頭が良い人って、投資で成功するのは意外と難しいんじゃないかと思ったりもします。
――頭が良い人は投資で成功しにくい?
テスタ 頭が良い人は自分が正しいと思いがちなんですよね。そういう頭の良い人が決算書を読み込んだりして、「この企業は間違いなく成長する」という答えを導き出したとします。おそらくそれは、会社の評価としては正しいんですけど、株価を動かすのはその他大勢の投資家たち。だから、みんなが「上がらない」と思って買わなかったり、売ったりしたら、いくら企業分析が正しくても株価は上がらない。
なので僕は、なんらかのニュースが出たとき、「自分はこう思うけど、みんなはどう感じるだろうか」って考えます。それで市場が強気だと感じたら、自分がそう思ってなくても株を買うこともある。自分も強気だと思っていて、市場も強気だと感じたら、ロットを大きくしたり。
――自分の感覚よりも、周りの人がどう思うかが優先なんですね。

