2005年に開始した株式投資の累計利益は100億円を超え、SNSでは個人投資家として最多100万人のフォロワーを抱えるテスタさん。

 小5で「サラリーマンになるのは絶対に無理だ」と決意し、18歳で“高卒ニート”としてひとりぐらしを開始。カーテンも洗濯機もない部屋に住んで1日13時間のパチンコで生計を立てる時期を経て、株式のデイトレードに出会った最初の感想は「家から外に出る必要がないし、人に会わなくていい。これはいいな」だったという。

 人生で最も苦しかったという1週間で1億円負けて血尿が出た日々、「頭のいい人は投資で勝ちにくい」という持論、緩む人と勝ち続ける人の違いについて話を聞いた。

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テスタさん ©︎文藝春秋

――テスタさんが総利益5億円を突破した2013年と言えば、「アベノミクス」が始まってしばらくした頃ですね。

テスタ 下げ相場を戦っていたときから、「上げ相場でどれだけ勝つかが今後を左右するだろうな」って薄々感じていたんです。

  下げ相場って、強気になったら負けるんですよ。慎重に戦いながら、ヒット&アウェイみたいな感じで、ちょっと勝ったらすぐに逃げるということを繰り返して、利益を積み上げていました。でも、上げ相場は逆で、どれだけ乗っかるかが大事。やり方をガラッと変えないといけない。

  だから、事前に「上げ相場になったら、これだけの資金をこの銘柄に突っ込もう」っていうことまで考えていましたね。それまではデイトレなので絶対に日をまたいで持ち越すことはなかったんですけど、そのルールを捨てる必要があったんです。

「大金を手にすると豪遊したりして気が緩む人がたくさんいるんです。でも、そうなったら…」

――デイトレだけでなく、株をもう少し長く保有して利益を狙うスタイルも取り入れたわけですね。

テスタ 持ち越すことを禁じてきたから、長く保有するのは生理的にすごく嫌なんですよ。でも、「ここがターニングポイントになる」と感じていたので。「この相場が終わるまでは、絶対に妥協してはいけない」「どれだけ勝っても気を緩めてはいけない」って自分に言い聞かせていましたね。

©︎文藝春秋

  周りのトレーダーを見ても、大金を手にすると豪遊したりして気が緩む人がたくさんいるんです。でも、そうなったらそこが天井だと僕は思うので、「遊ぶのはあとからでいい」「今はこの相場に100%集中する」という思いでやっていました。だから当時、毎月200万くらい勝っていたはずですけど、食事はほとんど家の前のすき家かコンビニでした。

――それだけ集中していた、と。

テスタ すき家とコンビニとパソコンの前だけだから景色も同じで、その時期の思い出が何もないんですよね(笑)。でも、一番頑張った時期なのは間違いないです。

――そんな過酷な1年を過ごすのは、さすがにもう嫌ですか?

テスタ いやいや、もし、そういう相場が来たら、迷わずやりますよ。

――まるで修行僧のようですね。でも、それが苦ではない?