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その結果、哲也さんと同居が始まって1カ月もしないうちにオメデタが判明した。てっきり喜んでもらえると思ったのに、哲也さんに報告すると、鬼のような形相で怒られた。
「お前ら、家族計画がムチャクチャだ」
「お前ら、家族計画がムチャクチャだな。オレだっていつまでも達者じゃない。35年ローンを払いながら2人の子どもを育てていけるのか。金も甲斐性もないくせに子どもなんか作りやがって。そのツケは長男が払うことになるんだぞ!」
哲也さんは2人の子どもを大工の腕一つで育ててきた。史郎は月収20万円、綾香は専業主婦。2人が哲也さんの収入を目当てに子どもを作ったかのような態度が我慢できなかったのだ。
「お前ら2人でどれだけやれるものなのかやってみろ。もう食費と光熱費は払わん。オレはオレで払う。それが2人目の子どもの養育費だと思え。家のローンだけは半分払ってやるから」
哲也さんは宣言通り、食費や光熱費を払わなくなった。これを綾香と史郎は「約束が違う」と怒った。同居すればこそ、生活費も浮くと思ったのに……。だいたい初孫はあれだけかわいがっているのに、なぜ2人目の孫の誕生を喜んでくれないのか。そのことが2人には不思議でしょうがなかった。
それだけでなく、哲也さんは2人の養育態度について厳しく叱責するようになり、「長男の面倒も見ないで、テレビばかり見てるんじゃねえ!」と怒鳴りつけたり、綾香が転倒しかけたのを見て、「そのままこけてお腹の子が死ねばよかったのに」といった暴言まで吐くようになった。