山肌にある住宅地を目指す
新尾道駅の周囲は、東も西もすぐ近くまで山が迫っている谷あいだ。
新幹線の高架も駅の両脇ですぐにトンネルに入るほど。この谷あいが海まで達して開けたところに尾道の中心市街地があり、北に向かって山に近づくにつれて谷が狭まっていくというあんばいになっている。
だから、谷の中央を通る国道とそれを横切る新幹線の他は、両脇に迫る山肌を切り開くようにして町が形成されている。
山肌の住宅地へは急な坂か階段を登らねばならない。ひとまず、と思って新幹線の高架脇の階段を登ってみた。
ところが、足元を見るとそこには夥しいほどのミミズの死骸が散らばっていた。訪れたのは真夏の盛り。
暑さを避けて土から這い出たミミズさんがコンクリートの路面にたどり着き、干からびてしまったのだろう。
なのでこの道を辿ってゆくのは諦めて、国道沿いを北へ南へ歩いていった。
気を取り直して再出発
この国道184号は、紛れもなく新尾道駅周辺のメインストリートだ。
南の端には尾道の市街地があり、新尾道駅を間に挟んで北では山陽自動車道。山陰方面に向かう中国横断自動車道も通っている。
他の地域と尾道を結ぶという、そうした役割も担うメインルートなのだ。
だから、というわけでもないのだろうが、国道沿いには飲食店やスーパーマーケットなどが並んでいる。
北に進み、大きな池の向かいを右に入って坂を登れば、整った街路の典型的なニュータウン。
古い地図と照らし合わせれば、国道の開通に前後して整備されたようだ。
こうしたニュータウンが、山を切り開いてあちこちに点在している。
ただ、国道から脇に逸れたところに広がる町のほとんどはニュータウンとは異なる昔ながらの住宅地だ。






