――『山田邦子の旅くらぶ』に出てすぐに、リポーターをメインに?

彦摩呂 いや、しばらくは役者と並行してやらせてもらってました。

――俳優の活動は順調だったわけですから、事務所のほうから「役者でいいじゃないか」などと言われたりは。

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彦摩呂 最初はビックリしたと思います。俳優で育てようと思ってたので。でも、バラエティをやってる僕を見て、「彦らしいよね。この子は器用だから両方させなさい」って副社長が言ってくれたんですよ。あと、名前も彦摩呂のままでいいじゃないかと。

――ちなみに、彦摩呂という芸名には納得できましたか?

彦摩呂 僕だけ「麿」で雰囲気が平安時代なんですよ。ほかのメンバーは咲輝(現・榊原利彦)とか黒之助(現・賀川黒之助)、鼓太郎なのに。

――たしかに幕末感がありますね。

彦摩呂 僕だけ平安時代。ミーティングで彦左衛門、彦之助、彦太郎なんて案が出たんですよ。でも、誰かが「彦摩呂!」って言ったら大爆笑になって、「うん、彦摩呂っぽい」なんて言われて彦摩呂に決定。

――『山田邦子の旅くらぶ』に出てから、どれくらいで他の番組でもリポーターをするように?

彦摩呂 情報番組に出ると、ほかの情報番組のスタッフが見てくれるので、次々と声をかけてくれるんです。で、「彦摩呂って子、かわいらしくて、さわやかやん。うちにも出てもらおう」とか言ってもらえて(笑)。それで、フジテレビの朝の枠『どうーなってるの?!』(1993年~2001年)、『こたえてちょーだい!』(2001年~2007年)に呼んでくれましたね。

 

猛勉強して編み出したグルメレポートの技の数々

――リポーターを始めた当初から、グルメが中心?

彦摩呂 いやいや。街ブラに豪邸訪問、ペット訪問。温泉とかの旅ものもやったし、『TVチャンピオン』(テレビ東京・1992年~2006年)の競技リポーターもやってました。グルメは数あるジャンルのひとつとしてやっていて。

 ただ、グルメのリポートに関しては、自分で猛勉強しましたね。まだ「食レポ」や「グルメリポーター」なんて言葉がなかった時代ですから、誰も教えてくれないんですよ。

――どんな勉強を。

彦摩呂 オンエアされた映像とされなかった映像を見比べるんですよ。そうすると「こうしたほうがいい」ってのがわかってくる。

 料理の乗ったお皿に両手を添えると、それだけで美味しそうに見える。これは「グルメの天使の羽」って技になります。すぐにパクって口に入れると、カメラさんが追いきれないんですよ。だから、お箸上げしたら2秒待つ。すると、パンアップしてズームしやすい。これが「命の2秒」って技になります。

 これも重要なんですけど、僕がお店に入ってのれんをくぐるときに、のれんを持っておいて、カメラが付いてきてから手を離す。普通にのれんをくぐったら、カメラのレンズにのれんがかぶっちゃうじゃないですか。それを避けるんです。これが「のれんの長持ち」って技になります(笑)。