「ゴミ映画だと覚悟して行ったけど…」「低予算カルト映画」
〈でっかいうんこだ! 地雷だ! 重たいテーマをゴミ映画の隠れみのにしてはならない〉
〈ゴミ映画だと覚悟して行ったけど、意外にも悪くなかった〉
〈731部隊の日本人看守が和服を着て帯刀している。おいらん姿の芸者と、髷を結った武士姿の看守の行進。圧倒されました。監督は「西洋ステレオタイプの低予算カルト映画」のツボを完全理解していますね。評価は星1です〉
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これらのコメントがまだ掲載されているということは、削除されたコメントには何が書いてあったのかと気になって仕方がない。
ちなみに本作はニュージーランドなど、中国以外の国でもすでに公開されているが、評価は悲惨なもの。映画データベース「IMDb」の評価は3.2(10点満点)の低評価に沈んでいる。
ゲイシャ、ふんどし一丁の日本兵…ステレオタイプな日本描写が
実際、映画では、レビューでも言われているようなステレオタイプ的な日本の描写はよく目立つ。
ゲイシャによるおいらん道中、「必勝」というはちまきをしたふんどし一丁の日本兵、サディスティックな美人将校、山車が疾走する祭り……。
ニンジャが出ていないのが残念なほどにステレオタイプ日本が繰り広げられる。日本人が見ると、リアリティの欠如が目につくコレジャナイ感も欧米ステレオタイプ風味満載だ。
こう書くと、逆に見たくなるB級映画ファンも多そうだが、一鑑賞者の意見としてはきわめて退屈であったことは言い添えておく。キッチュなシーンは嫌いではないのだが、ストーリーのつながりがよくわからず、登場人物の目的もよくわからない。
映画のストーリー自体は「かつて旧日本軍の施設から脱出した経験を持つ主人公が施設内部の構造を探り、他の捕虜たちを連れての脱走に挑む」というシンプルなものなのだが、脱走成功のために必要なキーアイテムを入手する、巡視を避けるための方法を編み出すといったシーンは皆無。残虐な人体実験風景やおいらん道中を眺めていたら、気づくと脱出計画当日を迎える……という物語の破綻が目についた。
中国でのネット上には「検閲によってカットされたため、話がつながらなくなったのでは」という好意的(?)な解釈をした書き込みもあった。実際のところはよくわからないが、趙林山監督はもともと広告動画のディレクター。その後北京電影学院に入学し映画監督に転身というキャリアだ。広告動画的な一瞬一瞬の画作りを優先し、ストーリーの整合性には興味がないようにも見えた。
