「鉄道の旅っておもしろい?」とか「一緒に行ってみたいな」と、友人や意中の人に問われたら、こんな風に答えよう。

「今度の金曜日、私に1日だけ、付き合っていただけませんか。とっておきの鉄道の旅を味わっていただけますよ」

 そう、某グルメマンガの主人公のように。

ADVERTISEMENT

 

季節はいつでもいいけれど、晴れた日がいい

 そして東京駅で待ち合わせる。「さあ、行きましょう」。そして薄緑色のきっぷを相手に渡す。新幹線こだま号、三島行きだ。相手は意外に思うだろう。新幹線で遠くに行くかと思ったら日帰り。しかも三島。意外すぎる。季節はいつでもいいけれど、晴れた日がいい。これはとても重要だ。誘う時は天気予報を頭に入れておこう。

 三島に着くと、まずパートナーは富士山の美しさに喜んでくれるはず。三島駅の新幹線プラットホームは高い位置にあって、富士山がよく見える。のぞみ号ではあっという間に遠ざかる富士山を、駅からゆっくり眺められる。次に在来線ホームに行き、東海道本線の下り列車に乗る。東京近郊と同じ東海道本線でも、ここはJR東海エリア。違った色の電車で、編成も短め。ローカル線の雰囲気が始まる。

 

都会の電車に見慣れた人にとっては異世界の乗りもの

 各駅停車から観る富士山も大きく、裾野が広がっている。新幹線より近い気がする。東京都内では観られない風景だ。吉原駅で降りるまで乗車時間は約20分。富士山の眺めを語り合うにはちょうどいい。

 吉原に着いたら、線路の向こうを指さす。1両、または2両連結の電車がいるだろう。岳南電車だ。都会の長編成の電車に見慣れた人にとっては異世界の乗りもの。もうここからワクワクするはず。「なにあれ、かわいい電車ね」といってくれたら脈アリだ。階段を上がって乗り場へ行こう。