「対局中に救急車で運ばれたことが…」

岩村「初段の頃に一度、対局中に救急車で運ばれたことがありました。その時は腸を患っており、対局に集中することもままならなかったです。最近は高校を卒業して環境が変わったこともあり、改善していますが、苦しかった中学3年のころの印象が強いです」

生垣「2級、1級、二段の時に停滞がありました。それまでは何も考えずに振り飛車を指していましたが、そのときは居飛車も指しました。三段になると相手の研究が深くて戦型を考えなくてはいけなくなりました。最近は振り飛車で勝ちだすことができて、ホッとしています」

片山「奨励会生活が10年で、そのうち5年が三段です。思い出は全部三段リーグですが、よかった記憶はほとんどありません。今日の昇段が一番でしょうか」

ADVERTISEMENT

山下「あまり思いつきませんが、印象深いことでいうと、仲のよかった同期がやめていったことが悲しかったです。他には自分が三段で次点を取ったとき、(その16回戦で)生垣さんに大逆転負けを喫したことが強く印象に残っています」

昇段決定後の打ち上げにて

藤井聡太竜王・名人への印象

――皆さんは藤井聡太竜王・名人より年下の世代ですが、その世代として今の藤井竜王・名人についてはどのようにお考えですか。

岩村「雲の上の存在ですよね。今すぐに追いつけるとは思っていませんが、今年の詰将棋解答選手権で藤井先生が1位、自分が2位と並ぶことができて、希望は感じています」

生垣「藤井先生を意識することはあまりなく、自分のことで精一杯ですが、可能性があるなら公式戦で当たりたいですね」

2021年8月、第62期王位戦第5局で記録係を務めた生垣新四段

片山「遠い存在で、意識することができる立場ではありませんが、藤井先生の将棋は面白く、毎局勉強させてもらっています。実際に当たれたらと思います」

山下「指す将棋の内容が毎局安定していて、尊敬しています。自分も近づけたらと思います」

 インタビュー後は昇段者、奨励会幹事などの関係者による恒例の打ち上げが行われた。岩村、片山の師匠である飯塚八段もお祝いに駆けつけた。同門の同時昇段は第69回リーグの横山友紀、狩山幹生という井上九段一門以来となる。後日に改めて飯塚八段に話を聞いた。