「“ぽっぽ”だけで家族食わしてやってるよ」

――年間、どのぐらい営業に行くんですか。

鼠先輩 月に1本や2本の月もあれば、忘年会シーズンの12月は平日もパンパンだったりして波があるけど、年間150~200本は稼働してるのかな。これからの季節、忘年会は大事でね。その会社の関係者の社長さんとか、いろんな人が見に来るから、どこで何が広がるかわからないでしょ。

 テレビに出ることはほとんどなくなったけど、“ぽっぽ”だけで家族食わしてやってるよ。(一発屋といわれる)ダンディ坂野さんも、「ゲッツ!」(2003)だけで家建ててるんですから、案外できるんだよ。

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ステージでお客さんを沸かす鼠先輩 本人提供

――失礼ですが、“ぽっぽ”でそんなに食えるんですね。

鼠先輩 そうなの(笑)。

―― 売れていた時の最高月収は…

鼠先輩 1ヶ月で1200万円。でも、その後うなぎ下がりだよ! あっという間に月20万円を切るレベルになるんだから。

 さすがに“ぽっぽ”でここまでくるとも思ってなかったけど、俺はそもそもタレント業だけが全てじゃないと思ってるんだよね。何か他にやりたいことがあればそっちをやってみてもいい。ただ一発売れたものを営業するのは楽だし、好きだからやってるだけ。 だってぽっぽぽっぽ言うだけで、1回何十万も貰えるわけですから。

忙しかった期間は「体感で3ヶ月」

――当時は寝る間もない忙しさで?

鼠先輩 そうそう、全然寝る時間がない。朝から次の日の昼まで一睡もせず稼働した時もありますね。早朝テレビ局へ行ってロケ、昼は別の収録に行き、その合間に細かい取材を受けて、最終便の飛行機で地方の営業に顔を出し、隣の県でまた営業して。

 忙しすぎて、言われるがままにこなすのが精一杯。常に眠たい状態で、何千人も集まっているような場所へ放り出されて、ぽっぽ、ぽぽぽっつって、次の現場へ移動する日々でした。

©石川啓次/文藝春秋

――忙しかった期間は、どのぐらいですか。

鼠先輩 体感で3ヶ月ぐらいですね。ピークを過ぎると休みが増えて、収入もなくなっていくんだけど、ティラミスとかタピオカと一緒だよ。瞬間的にブワァって火がつくものは、すぐ廃れるに決まってる。俺は自分がぽっと出の、歌手なのか芸人なのかわかんねえヤツだとわかっていたから、最初から一発屋のつもりだったんだよ。