ナチュラルな“今の自分”を表現したかった
――今回初めてご登場いただいたカラーグラビア「原色美女図鑑」では、また新しい柴咲コウさんに出会えたように思います。どこか中性的なビジュアルで。
柴咲 新たな柴咲コウを見せたいという意気込みではなく、ナチュラルな“今の自分”を表現したかったんです。お話ししたように、パブリックイメージや一回浸透した印象って、結構根強く残るんですよ。そうすると乖離が生まれるんですよね、自分の中で。素の私は、新しいエッセンスも入って変化してきているのになって。
そもそも型にはまるのが好きじゃないから、この仕事をしているわけで(笑)。役や曲によっていろんな人に入ることができて、そこで学びを得られるのは、変化し続けたい自分にちょうど合っているんです。だから「退屈だな」と感じるものからは脱却したくなる。例えば、舞台挨拶はドレッシーに、というのも25年以上やっているとつまんなくなってくるんですよ(笑)。ちょうどここ2~3年は「当たり前になってしまったものを変えたい」という意識がすごく高まりました。
「40代は肌を露出すべきじゃない」は刷り込み
――衣装は古着がメインでした。それを新鮮に着こなす、というのも象徴的ですね。
柴咲 「90年代に着てた~!」みたいなテイストを、あえて今取り入れたりしているんです。ウエスタンっぽいデニムなんかは、私としてはもう2周、3周目くらいなんですけど(笑)、これを「新しい」と感じる世代もいるわけで。古臭い意識のままだったら挑戦しづらいアイテムだけれど、自分がフレッシュでいれば新鮮に纏える。そう在れているかを確かめる機会でもありました。
――ブラックのドレスも、ハードなニュアンスに目をひかれました。腕や脚の肌見せにも媚びない強さが感じられて。
柴咲 「40代は肌を露出すべきじゃない」とか言われますけど、それもまた刷り込みですよね。守りたい人は守ればよいと思いますが、私は攻めたいんで(笑)!
色んな人がいていいじゃん、って思います。「みんなと一緒の方が安心する」というのもひとつの価値観だし。ただ、「知らず知らずのうちに、世間に合わせて自分を押し殺して生きてない?」といったん立ち止まって、“私が本当に好きなもの”を一個一個確かめてみるのも面白いんじゃないかな。意外とショッキングピンクが好きだな、とかね。これから歳を重ねていっても、凝り固まらずにフレキシブルであり続けたいなと思います。
【原色美女図鑑(『週刊文春』11月20日号掲載)】
写真 高倉 夢
ヘアメイク SHIGE
スタイリング 柴田 圭
衣装協力 BerBerJin/BerBerJin YUHODO/memo/PRMAL/Rieuk/Ann Demeulemeester
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