自分の顔が嫌いだったし、プライドも高かった
──切ない……。当時、そういう自分のことをどう思っていました?
十二月田 もうとにかく嫌いでしたね。顔も嫌いだったし。あとは、みんなが共通の話題で楽しそうに笑っているじゃないですか。それを面白いと思えない自分がいて。
みんなに合わせて笑うだけなら簡単なはずですよね。でも、僕は作り笑いもできなくて。プライドが高いんです。そういう自分がコンプレックスでした。
──なぜクラスメイトとの話が面白いと思えなかったんでしょうか。
十二月田 みんなとおしゃべりしていると、自分が「その他」になるじゃないですか。それが嫌で。自分、逆張りオタクなんですよ。目立たないことで目立ってやろうみたいな。めんどくさいんです。ラノベの主人公もだいたい陰キャだし、思春期の頃は、そういうのに憧れていたところもありましたね。
──ちなみに「チー牛」という言葉が流行りだしたのは2018年ごろですが、いつからご自身が「チー牛」だと意識していましたか?
十二月田 「チー牛」という言葉の元ネタになっている絵が、よくSNSでシェアされてるじゃないですか。眼鏡をかけたオタクっぽい男性が「三色チーズ牛丼、温玉付きで」と注文している絵。あれを見た瞬間「昔の俺じゃん」と思って(笑)。めちゃくちゃ似てますよね。
ただ、自分がチー牛だったころは、チー牛という言葉がまだ流行っていなくて、自分をどう形容して良いかわからなかったんです。だから、とにかく自分を醜い存在だと思っていました。中学の修学旅行の時も、外部のカメラマンさんが写真を撮ってくれますよね。その写真をプリントして廊下に貼って、買いたい写真の番号を書いて申し込む、みたいな。そこに、自分は1枚も写っていなくて。
──どうしてですか……?
十二月田 僕がカメラを避けていたからなんです。カメラマンが来たら巧妙に陰に隠れてました(笑)。写りたくなくて。
