突然現れた大橋社長に突撃インタビュー
そんなことを店の外に出て考えていると、誰かが私の肩をポンと叩きながら「なに写真撮ってるのよ」と話しかけてきた。なんと、それは文殊社長の大橋俊春さんだった。これにはものすごくびっくりした。
私は間髪入れず、「そばうどん文殊大手町店」はいったいどんな戦略でオープンしたのかを大橋さんに聞いてみた。すると、ポイントは次の2つだったという。
(1)大手町スタイルを作ろう
(2)文殊の従来通りの味を提供しよう
「大手町スタイルを作ろう」という作戦が生んだ効果
事前に何度もビルを見に行き、開店1年以上前に公募に参加。
出店が決まると、大手町の東京サンケイビルに入るということで、従来の店舗設計デザインではお客さんが満足してくれないとすぐに判断し、従来、施工していないデザイン設計を計画した。
それがカフェのようにお洒落で落ち着いた、街のそば屋っぽくない空間で、立ち食いそば屋のようなカウンター中心のレイアウトであった。こうした要素が、プライベート感の高い大手町店の印象につながっているのだろう。
「文殊の従来通りの味を提供しよう」という潔さ
そして重要なことだが、大橋社長は立ち食いそば屋で培った根幹部分はほぼ変えることなく適応した。実はこの点が近隣のそば屋との差別化を際立たせていると思う。
立ち食いそば屋ならではのメニューを変えなかった。
メニューは増やさず、天ぷらは従来店で人気なものをそろえた。
価格こそ、既存店と比べて30円程度高い設定にしたのだが、大手町界隈では逆に「安い」と受け入れられた。
営業時間は既存店とほぼ同じ朝7時からオープン。これは朝利用のオフィスワーカーにとっては堪らないサービスだ。通勤ラッシュを抜けてホッとできる空間となるわけである。
また、店舗運営の観点に立つと、日曜祝日を定休日にしたことは従業員の確保という意味で大きなメリットがあったという。

