「お金を払うことに慣れてしまうと…」

――「観る将」の方々の「推し活」は、具体的にはどのようなことをされるのですか?

将棋マダム 前夜祭、大盤解説会、就位式、あとはたまに祝勝会やイベントがあります。そのパターンしかないので、そこからチョイスしています。

 もちろん無料で参加できるイベントもありますし、座席が先着順という現場もあります。ただ、最前列を取ろうとしたら、下手したら2時間は待たなきゃいけないんですね。

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 私、並ぶのは嫌なんですよ。それから、お金を払ってイベントに参加し、前列に案内されるなどの特別扱いをされることに慣れてしまうと、もう一般参加はできなくなっちゃいますよ。

秘蔵のコレクションを披露してくれた 撮影=山元茂樹/文藝春秋

藤井聡太に「ニヤッとされた」瞬間

――これまででとくに印象に残っているイベントは何ですか?

将棋マダム このあいだ愛知県の小牧市で王位戦(第66期王位戦七番勝負第1局)があったので、プレミアムツアーで1人100万円のコースに行ってきたんです。募集人数の上限は10人だったんですけど、8人しか集まらなくて、そのうち5人が「推し活」の友達でした(笑)。

 そのプレミアムツアーのときは、私たち参加者への待遇がすごく手厚かったんです。食事のときに、ちょうど藤井先生と永瀬先生(拓矢九段)が見えたんですけど、運営の方から「みんな座っていていいよ」と言ってもらえて、先生方がお店の方と翌日のメニューを決めるのを見ることができました。普通は前日準備の様子を見ることはできないので、あれはうれしかったですね。

 その場では藤井先生はオレンジジュースを注文していました。藤井先生はオレンジジュースを頼まれることが多いようですね。でも、事前に先生方が来ることを知らなかった私たちは、「オレンジジュース一緒だったー!」とか「同じので良かったね」みたいな話をしていたんです。ただ、藤井先生との席が近かったから、その会話の内容が全部筒抜けだったんですよ。

――どのような反応でした?

将棋マダム ニヤッとしてましたね(笑)。結構、茶目っ気のある人なんですよ。

次の記事に続く 「若いファンはいませんね」藤井聡太を追いかけ全国各地へ…総額1500万円以上を費やしてきたマダム(54)が明かす“将棋界の推し活”のリアル「旦那からの反応は…」

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