藤井聡太八冠が誕生した2023年、「ユーキャン新語・流行語大賞」では「観る将」という言葉がトップ10入りを果たした。「観る将」とは、将棋の対局を「観る」ことをメインとしている新しい将棋ファンのことを指し、藤井聡太(現=竜王・名人)の八冠ロードの最中に急増したとされている。

 そうした「観る将」の一人が「将棋マダムのブログ」を運営する将棋マダム(54)である。これまで藤井聡太の「推し活」に、なんと1500万円以上を費やしたという。彼女はなぜそこまで藤井聡太を推すのだろうか。知られざる「観る将」の世界について話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む

藤井聡太ファンの知られざる実情とは? ©︎文藝春秋

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推し活費用の総額は1500万円以上

――棋士の「推し活」で、どのような瞬間がいちばん楽しいですか?

将棋マダム 仲間と一緒にご飯を食べているときですかね。就位式や前夜祭って、一流ホテルのコース料理が食べられるんですよ。みんなとあれこれ感想を言い合いながら食べているときがいちばん楽しいです。私は貧乏性だから、自分からは一流ホテルのコースなんて食べに行きませんから。

――「推し活」をしていなかったら、絶対に行かないようなところにも行くようになった?

将棋マダム そうです。鹿児島県指宿市の「日本最南端のJRの駅(西大山駅)」も行ったんですよ。タクシーに乗って「幸せを届ける黄色いポスト」の写真も撮ってきたんです。(北海道)小樽の運河も見に行きましたし。将棋がなかったら、ずっと家に籠もっていて、病気になっちゃうんじゃないかなって思ってます。

インタビューに応じる将棋マダム 撮影=山元茂樹/文藝春秋

――アイドルやアニメの「推し活」と違い、一回一回の支出額が大きいですね。

将棋マダム 将棋会館建設のクラウドファンディングも、6期までで合計300万円くらい払ってます。東西の将棋会館に私の名前のプレートが貼ってあるのが、ちょっとした自慢ですね。

――これまで総額でどれくらい使いましたか?

将棋マダム 1500万円はいっていると思います。

――コロナ禍以降の期間で、それだけの金額を使ったんですか?

将棋マダム 本格的に活動するようになったのは2021年からですから、実質4年くらいですかね。

――それだけのお金を使うことに躊躇はなかったのでしょうか?