「早死すると思っているんですよ」
将棋マダム 住宅ローンの返済が終わっているから、本当に各種税金と生活費くらいしかかからないんですよ。その生活費も質素ですし。それに子供もいないから、資産を残す必要もないんですよね。
――なるほど。
将棋マダム 変な話をして申し訳ないんですけど、私、自分では早死すると思っているんですよ。大病もしましたし、80歳、90歳までは生きられないだろうな、と。
お金は棺桶に入れられないじゃないですか。あの世まで持っていけるものでもないし、それだったら有意義にお金を使って、みんなとワイワイ楽しくやって思い出を作れたらいいかな、って思っています。
――将棋マダムさんがそれだけ「推し活」をしていることに対して、旦那さんの反応は?
将棋マダム やっぱり将棋は勝負事ですから、応援している棋士の方が負けたときには私の機嫌は悪くなります。旦那からは「藤井くんが負けるとあんたの機嫌が悪くなるから、負けてもらったら困るんだよね」とは言われてますね(笑)。
そういうときは、推し仲間がいると助かります。「みんな辛いかもしれないけどご飯食べて帰ろう」みたいに、気が紛れるんですよ。まあ、うちの旦那はパソコンを自作するのが趣味なので、「俺も新しいパーツ買おうかな」って言ってます。
「若いファンはいませんね」
――逆に「こういうことは止めておこう」みたいな、自制されていることはありますか?
将棋マダム 偶然、対局前の棋士に会場の外でお会いしても、こちらから話しかけることはしないと決めています。あと、棋士の方とツーショットを撮影する機会があっても、自分からは体を寄せないようにしています。フレームに収まるために、向こうから少し体を傾けてくることはありますけど、こちらからは……。
棋士は芸能人ではないので、ファンサービスを求めるのは違うと思うんですよ。そういった暗黙の了解を知らない若いファンは、ツーショット撮影のときに、アイドルみたいに指ハートをやってもらおうとして、連盟の方に怒られていますね。
――現場に足繁く通っていると、若いファンが増えたと実感します?
将棋マダム 若いと言っても、20代の子はいませんね。20代の若い子が将棋に来るわけがないんですよ。それこそ藤井先生の八冠ロードの最中はチケットも争奪戦だったし、ファンが増えたと実感していました。
どうもフィギュアスケートから流れてきている方が多かったですね。高橋大輔選手や羽生結弦選手を応援していたけど、彼らが現役を引退したのでこちらに来た……みたいな。あとは宝塚好きも多いです。
――将棋ファンの総数は増えました?
将棋マダム いや、最近は減ってきてます。あれだけ争奪戦だったチケットが、普通に手に入るようになりました。今まで来ていた人たちが来なくなって、いつもいる人だけが残った感じですね。

