「結局、お金が続かないんですよ」

――それはなぜでしょう?

将棋マダム 結局、お金が続かないんですよ。チケット代が高くなったり、あるいはクラファンでお金を出すのが当たり前になったり、将棋ファンのあいだでお金の使い方がバブルになり、金額設定もインフレ化したんです。

大盤解説会の様子 ©︎文藝春秋

「昔は大盤解説なんかタダだったのに、なんで金払わなきゃいけないんだ」みたいに言う人もいて、藤井ファンが逆恨みされることもあるわけですよ。

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 でも、お金が続かなくなってきた人たちが、脱落してきています。争奪戦をしていた相手は「どこに行ってしまったの?」って感じですよ。明らかに減っているので、連盟の方は危機感を持ったほうがいいんじゃないか、とさえ思っています。

「優秀な息子」という感覚で見ている

――最近は将棋マダムさんも、自分で将棋を指す「指す将」にもなったそうですね。

将棋マダム そうなんですよ。それまでは駒の動かし方とか、最低限のルールを知っているだけだったんですけど。今は月謝を払って、指導棋士の方にオンラインで教えてもらっています。今は二枚落ちで教えてもらっています。

――きっかけは?

将棋マダム 大盤解説を見ていても、何について話しているのか、わからなかったからです。私はSEをやってまして、もともとロジックで考えるタイプですから、分からないことはとりあえず調べたくなるんですよね。何が分からないのか分からないままだと気持ち悪いじゃないですか。せっかく将棋に興味を持ったんだから、と。

――棋士の「推し活」をする人の中には、将棋をまったくやらない人もいるんですか?

将棋マダム やる人と、やらない人に分かれますね。将棋を指さないファンだと、藤井先生のことを「聡ちゃん」と呼ぶ人もいます。もちろん応援の仕方は人それぞれですけど。私としては棋士の方々の才能を愛していますから、そういうファン活動もあるんだなぁという思いです。

――将棋マダムさんにとって、藤井聡太はどういう存在ですか?

将棋マダム 人として尊敬していますよ。23歳でよくあそこまで自分をコントロールできるな、と。

藤井聡太竜王(2023年当時) ©︎文藝春秋

――長く追ってきた将棋マダムさんの目から見て、世間が思い描く藤井聡太像と、実際に接して感じた印象で違いはありますか?

将棋マダム 世間がイメージしているよりも、ずっと気が強いですね。それから、駄目なときにはガクッとしたり、割とわかりやすいんですよ。ポーカーフェイスという感じではないです。そうですねぇ……私は藤井先生のお母様と同い年なので、「優秀な息子」みたいな感覚で見ているのかもしれません。