ゴミの放置、路上駐車、港湾施設への無断立ち入り……。マナーやモラルにもとる釣り人による迷惑行為が原因で、昨今、行政によって釣りを禁じられる釣り場が増え続けている。そして、一度釣り禁止が決定されると、よほどの理由がない限りその決断を覆すことは不可能に近い。
そんな中、西伊豆エリアでは、釣り禁止になった港や堤防が次々に釣り場として開放され始めていると聞いた。一体何が起きているのか? 今回は現地に赴き、釣り場開放の実態、15年ぶりに開放された堤防で何が釣れるのかを調査していく。
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15年もの間立入禁止が続く“開かずの堤防”
静岡県松崎町に位置する松崎新港。
港内はサビキ釣りでアジやサバを狙う釣り人で賑わい、西伊豆のファミリー向け釣り場の一つとして知られているスポットだ。
一方、港から沖に湾曲するように伸びる大きな堤防は、15年もの間立入禁止が続く“開かずの堤防”であり、入口にはバリケードが設置されるほど厳重な管理が続いてきた。
しかし、今年の5月「松崎新港が期間限定で開放される」という情報がSNSで広がったのだ。
発信元は「UMIGO」というアプリを運営する株式会社ウミゴー。西伊豆にある田子漁港をはじめ、釣り場にライセンス制度を導入して数々の釣り場を開放した実績のある企業だ。
日本では聞きなれない釣りのライセンス制度だが、特別な免許が必要なわけではなく、下記手順を踏めば誰でも釣りができる。
(1)アプリをインストールして本人登録を行う
(2)利用したい釣り場と日時、車で来場していれば駐車場も予約する
(3)オンラインで決済
(4)予約した期間で釣りができる
河川で取り入れられている遊漁券制度に近い形で、その日のライセンスを取得することで当該スポットで釣りを行うことができる仕組みだ。ライセンス導入により、釣り禁止に至る主な原因のひとつである路上駐車を防止したり、チケット収入で釣り場に監視員を配置することで漁業者とのトラブル回避にもつながる制度といえる。
松崎新港の“開かずの堤防”もライセンス制度導入が検討され、まずは試験的に「釣り利用トライアル」として5月31日~6月1日、7月5日~7月6日の期間限定で釣り場が開放されることになったというのだ。



