千葉県に位置する手賀沼。

 我孫子市、印西市、柏市、白井市の4市にまたがり千葉県内では印旛沼に次ぐ第2位の湖沼面積を誇る。

手賀沼

 農業用水に利用されたり、水辺の生き物や植物と触れ合える自然公園化の整備が進むなど千葉県の水産資源にとどまらず憩いの場としても欠かせない存在だ。そんな手賀沼だが、日本一の汚名を背負った過去があることをご存じだろうか。

ADVERTISEMENT

27年連続水質ワースト1位の沼

 手賀沼はかつて全国の湖沼における水質ワースト1位という不名誉な称号を27年連続で記録した、いわば「日本一汚い沼」だった。

 湖面にはアオコが生い茂り、近くを通るだけでも悪臭が漂うと言われたほどその環境は劣悪だったそうだ。

アオコが繁殖する湖沼 ※イメージ

 現在では浄化対策事業が実施され、元の環境を取り戻しつつある。とはいえ、千葉県民として、そんな過去を持つ手賀沼に実際どんな生き物が生息しているか気になっていた。今回は手賀沼の歴史を辿りながら釣りを通してその生態を調査してみようと思う。

もともとは鮎も生息するきれいな沼だった

 かつては、アユやワカサギ、ウナギなど、比較的きれいな水質に生息する生き物であふれていた手賀沼。その頃に行われていた漁を調べてみると、ウナギだけでも筒、延縄、鎌漁業など多様な漁法が用いられていたそう。他にも張網といわれる定置網やすだて漁で捕獲されたフナやコイは今でも受け継がれる郷土料理の食材として重宝されていたのだとか。現在では考えられないほど漁業資源が豊富な湖沼であったことが窺える。

一昔前の手賀沼

 しかし昭和30年代以降、高度経済成長に伴い都市化が進み、手賀沼に注ぐ大堀川や大津川へ生活排水が垂れ流しになったことから水質は悪化の一途をたどった。そうして手賀沼は昭和49年から平成12年までの27年間、日本一汚い湖沼として汚名を背負うこととなった。