ポケモンは世界的人気コンテンツだが…
ビデオゲームは進歩の速い文化で、ゲーム機の進化に伴って内容も変化していく。それこそファミコンの時代はなんでもアクションゲームになっていたが、それは表現できるものが少なかったからだろう。
ゲーム機の進化に伴ってジャンルも多様になっていき、昨今では広大な世界を描くオープンワールドが当たり前になりつつある。グラフィック性能も上がりフォトリアルなビジュアルも増え、どんどん変化していくのだ。
こういった状況において、古臭いゲームは置いていかれてしまう。もちろんレトロ志向の作品もあるにはあるのだが、それも結局のところ現代の遊びやすさを兼ね備えたものであり、決して進化していないわけではない。
また、ビデオゲームがほかの文化と違う部分は何かといえば、プレイヤーが実際に手にとって遊ぶところにある。その遊びの構造がおもしろいからこそ、ほかの遊びと異なり何時間、何十時間も熱中できるのだ。
初代となる『ポケットモンスター 赤・緑』も、ほかのプレイヤーとポケモンを交換したり、あるいは対戦させるといった遊びがおもしろいからこそ爆発的に流行したのである。ひとり用の遊びだったRPGを、マルチプレイに発展させたのがまさしく革新的であった。
当然ながらポケモンもそれを完全に忘れているわけではない。ゆえにゲームシステムの進化を目指す「Pokémon Legends」シリーズができたのだし、新作はアクションRPGを目指したのである。
だが、肝心の内容はレトロゲームのようである。身長差がある人間同士だとグータッチできないだとか、盛り上がるはずの最終決戦はただボタンを押すだけだったり、強い攻撃はほとんどすべてビーム状になるなど、不自然さを誤魔化すことすらできていないのである。
ポケモンは世界的人気コンテンツで、その魅力や人気は類を見ない。一方で、ビデオゲーム作品としては日に日に時代遅れのゲームになりつつあり、失望をあらわにするユーザーも増えているのである。あるいはもはや伝統芸能のようになっていくのかもしれない。
