駅を降りた人はどこへ行くのか
その理由は何か。ひとえに武蔵野線のおかげといっていい。
西武池袋線の秋津駅は、JR武蔵野線新秋津駅との乗り換えによって速達列車が通過するにもかかわらず、主要駅の一角たる賑わいを獲得しているのだ。
池袋駅から下りの西武線に乗って、秋津駅に着く。秋津駅の下りホームからそのまま直結している南口の改札を抜けると、目の前には富士そばの看板が。
駅の脇には西武系列の商業施設・エミオがあって、丸亀製麺や無印良品などが入っているようだ。
秋津駅、駅を降りたところでソバかうどんか、究極の選択を迫られる。
その脇から南西に向かって、それはそれは人通りの多い商店街が続く。
秋津駅と新秋津駅の乗り換えルートでもあり、どちらかに電車が着くや、乗り換え客があっちへこっちへと行き交っている。その間は、商店街の中を抜けて10分弱だ。
秋津から新秋津まで歩いてみる
この乗り換えの道筋は、ありていに言えば何でも揃っている。
ドトールコーヒーもモスバーガーもサイゼリヤもあるし、昼間からギッシリとお客を詰め込んでいる立呑み屋もある。
ラーメン屋をいくつも見かけるあたりはザ・現代ニッポンだ。
秋津駅を降りてからソバとうどんをスルーしても、立呑み屋の焼き鳥の香りに誘われて、それをやり過ごしてもラーメン屋から漂うスープのいい香り。次から次へとラーメン屋が現れる。
10分もかからない秋津駅と新秋津駅の乗り換えは、ありとあらゆる食の誘惑が揃いも揃った商店街を歩くことになる。
もしもこの乗り換えを日常的に使っているならば、連日連夜ラーメン屋か立呑み屋に通い、胃腸肝臓が疲れたときにはドトールコーヒーに頼って、などという生活をとめどなく繰り返すことになりそうだ。
ともあれ、西武池袋線秋津駅とJR武蔵野線新秋津駅の間を乗り継ぐ商店街がこの町の中心であることに疑う余地はない。
だがしかし。それだけに目を奪われて終わっては、本質を見誤ることになる。






