「声の方が様々な役を演じられる可能性が高い」と考えて
――映画ファンにとって、オークワフィナの声は特別というか、「この声に合わせられる人なんているのか?」と思っていたと思うんですよ。ところが、こんなにドンピシャな吹き替えがあるのかと驚いた人は多いと思います(笑)。
ニケライ 今まで培ってきた大切なご縁があったからこそですよね。本当に一人の力ではできるわけがないので、ボイステストに呼んで下さったディレクターの依田孝利さんをはじめ、関係者の皆さんに感謝です。『シャン・チー』がきっかけで、未発表を含めると7~8回ほどオークワフィナさんの吹き替えを担当させていただいているので、いつかオークワフィナさん本人にも直接会って感謝を伝えたいです! 彼女のおかげで、素敵な景色をたくさん見せていただいたので。
ちょっとネガティブな話ですけど、実は声優としての仕事を始める前に「見た目のせいで役が限られる」って言われたことがあります。今思うとひどい言葉ですけど、当時は演技の内容じゃなくて、見た目で選択肢が狭まるのはイヤだなと思いました。それで、声の方が様々な役を演じられる可能性が高いと考えて、声優を志したというのも、理由の一つでした。複雑な気持ちですが、その結果、オークワフィナさんの日本語版吹き替えに巡り合えたんですよね。
『モンスターハンターワイルズ』ハンター役での楽しさ
――『シャン・チー』のオークワフィナは、本当にはまり役ですよ。
ニケライ 実は『シャン・チー』の最初のディレクションのとき、よくない気合の入り方をしていたんですけど、ディレクターの依田さんに「そんなに頑張らなくていい」って言っていただいて。「そのまんまでいい」って。
――2人のバイブスが似ているんだからと。
ニケライ はい。また別作品になりますが、今回『モンスターハンターワイルズ』のハンター(タイプ2)の声を担当させていただいたんですけど、制作陣の作品への愛が本当に素晴らしくて。一緒にお仕事ができて本当に幸せです。セリフはもちろん、息遣いのこだわりも素敵で。「食べる」とか「飲む」などの日常の細かい音も音声化しています。一緒に作品を作っている感覚が強くて非常に楽しいです。
(Part3へ続く)
その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。

