「オルカン」の愛称で親しまれるeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の運用残高が8兆円を突破し、シリーズ全体では20兆円を超えるまでに成長した。その生みの親である代田秀雄氏(シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ代表)が文藝春秋PLUSの番組で明かした投資哲学と、インデックスファンドに込めた思いとは。(全2回の1回目/続きを読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2025年10月23日配信)
「居酒屋でオルカンが話題に上る時代」
「ここまで急速に大きくなるとは、私自身ちょっと驚いておりまして」と代田氏は語る。
「周りに話を聞いてみても、居酒屋や同窓会の会話でオルカンとかS&P500が登場すると。投資に対する意識がかなり変わってきたのかなと思います」
2018年の積立NISA開始を契機に誕生したeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)。その背景には、報酬引き下げ競争に晒された従来のeMAXISシリーズでは「十分に戦えないんじゃないか」という危機感があった。
「『将来にわたって業界最低水準の運用コストを目指す』というコンセプトを打ち出して、長期投資をされる方のための新たなインデックスファンド」としてeMAXIS Slimシリーズを立ち上げたのが2017年だった。
オルカンは投資家の「熱い声」から生まれた
「オルカンを作るきっかけになったのは、投資家の方の声でした」と代田氏は振り返る。
「投資家の皆さんから『作ってくれ』という熱いご要望がございまして、それに応える形でオールカントリーができた」
同社が古くから続けてきたブロガーミーティングやファンミーティングが、投資家との対話の場となった。
「投資信託は、どういう人たちが運用しているか、商品を企画しているか、資料を作っているかが、なかなか見えないものですから」

