積立投資で最も重要なのは「相場が下がった時にどういう風な行動をとるか、が極めて重要」――。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)を手がけた代田秀雄氏(シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ代表)が、投資の秘訣を明かした。一直線に上がる相場よりも、下落を経験する相場の方が最終的なリターンが高くなるというデータに基づいた、驚きの事実とは。(全2回の1回目/はじめから読む

【“オルカン生みの親”のインデックス投資術】新NISAで守りと攻めの資産運用「コア・サテライト戦略」とは|「コア投資は結婚相手を探すようなもの」|大人気「オルカン」誕生秘話【代田秀雄】

(初出:「文藝春秋PLUS」2025年10月23日配信)

「一直線上昇」より「下落→回復」

 代田氏が示した2つのシナリオは、積立投資の本質を物語っている。シナリオAは「皆さん、株式市場にこうなってほしいと心の中で願っている一本調子に上がっていくパターン」で、10年間で1万円が1万5000円になる想定だ。

ADVERTISEMENT

代田秀雄氏が示したシナリオAとシナリオBの基準価額推移の図

 対するシナリオBは「5年後に1万円のものが5000円に下がって、その5年後に1万円に戻っただけ」という、一見すると魅力のない相場展開である。

 しかし実際に毎月定額で積立投資を続けた場合、「実はシナリオBの方が、シナリオAよりもリターンは高くなる」という結果が示された。

残高の推移(シミュレーション)

 その理由は明快だ。

「シナリオAは一本調子に上がっていくんですけれども、高いところをどんどん買っている、という状態なんですね。逆にシナリオBはドーンと下がるものですから、下がったところでいっぱい買える。同じ金額でもたくさん買うわけです」