社内の人間が直接投資家に思いを伝える機会を極力持つようにしていたという。

 オルカンという略称も、社員のアイデアから生まれた。

「オルカンという呼び方は、商標も取っておりますけれども、本当にいいなと思いますね」と代田氏。口にしやすさが、一般投資家への浸透を後押しした。

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代田氏が番組内で示したオール・カントリーの基準価額推移の図

30年の経験からインデックスの広がりを予見

 代田氏が投資業界で30年間見続けてきた変化が、インデックス投資推進の確信につながった。

「私が主に手掛けていた年金の世界も、日本の個人投資のマーケットと同じように、初めはアクティブ中心のマーケットだったんです」

 2000年頃の日米構造協議で外資系アセットマネジメント会社が一斉に参入し、インデックスファンドが持ち込まれると、「国内系の運用会社が相当苦戦をした」。

 この経験から、「日本の個人のマーケットも、アクティブ中心からいずれインデックスが大きく広がっていくんじゃないか」と予見していた。

代田氏が番組内で示したリターンの図

「市場を買っておいた方がコストも安いですし、中長期で考えた時に、合理的な投資なのではないか」という結論に至った背景には、豊富な実証研究があった。

 オルカンの20年間の年率換算リターンは、どの期間を切り取っても概ね4%から9%の範囲に収まっているデータも示された。

全世界投資をすすめる「シンプルなロジック」

 オルカンが支持される理由について、代田氏は明快に説明する。

「このファンド一本で世界の株式市場に分散投資ができるということが非常に大きい」

「僕らがその株に投資する一つの大きな理由として、世界経済が成長するからだと思ってるんですね」

「世界経済が成長するということは、企業間の取引量が増え、売り上げが増え、そのことによって企業も利益が増える」

 

「世界経済を担っている企業というのは、特定の国の企業だけではない。グローバルに様々なものが流通している」ため、「国によって調子のいい国もあれば、調子の悪い国もあるかもしれない。けれども、世界中のいろいろな国に投資をしておけば、世界経済の成長とともに、私たちのファンドも着実に収益を上げる成果を上げることができるんじゃないか」。

 この「非常にシンプルなロジック」が、特定の国を選ぶよりも全世界投資として受け入れられている理由だと分析した。

次の記事に続く NISAは「月1投資」と「年1投資」のどちらが有利? “オルカン生みの親”が明かす資産形成の考え方《ポートフォリオ構築は》

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