ただ、10月30日、李在明韓国大統領との初の首脳会談は、当初の懸念とは裏腹に良い雰囲気で終わった。それにより、韓国メディアも「当面は日韓関係が激変することはない」と確信したようだ。
〈強硬な保守派とされる高市首相が就任する前は、今後の韓日関係が緊張する可能性に対する憂慮があった。しかし高市首相は就任後、韓日、韓日米の協力を重視する態度を対外的に表明している〉(京郷新聞、10月31日)
太極旗に向かってお辞儀を…「韓国人も学ばなければ」
〈(日韓の)両首脳が記念撮影を終えて会談席に戻る時、高市首相は会談場に配置された太極旗(韓国の国旗)に向かって頭を下げて挨拶した。通常、首脳会談では見られない異例の行動であり、高市首相が韓国に敬意を示したものと分析される〉(ソウル新聞、10月31日)
ネット上のコメントから読み取れる韓国国民の評価も、メディアの論調と似ている。「未だに高市氏は信用できない」という意見もあるが、首脳会談で見えた高市氏の態度について評価するコメントが多い。特に、太極旗の前で敬意を表した行動に対しては、好評一色だ。韓国のニュースサイト「NAVER NEWS」にはこのようなコメントが並ぶ。
「互いに尊重し合うことは良いマインドだ」
「韓米日が団結して北中ロを阻止するべきだ」
「あの態度は韓国人も学ばなければならない」
「高市氏は太っ腹だった!」
「韓日はもう一緒に行かなければならない」
韓国の「東アジア研究院」が日本のシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」などと共同調査した「2025年韓日国民相互認識調査」によると、韓国人の日本に対する好感度は52.4%で、2013年の調査開始以来最も高い水準だった。文在寅政権時代の12.3%と比べると4倍以上急騰した数字だ。
文在寅政権時代に「国交樹立以降最悪」と言われた日韓関係は、尹錫悦政権が劇的な改善の転機を作った。野党代表時代に尹錫悦政権が提案した元徴用工賠償判決に対する第三者弁済案を「売国行為」「屈辱」と罵倒した李在明大統領も、就任後にはこの流れを受け継いでいる。
両国の国民も、このような関係改善の流れは今や当然のことととらえ、反応しているのだろう。

