ドイツで極右政党「AfD(ドイツのための選択肢)」が躍進する背景には、移民・難民問題への複雑な感情がある。ドイツ出身の文筆家・マライ・メントラインさんと東京女子大学教授でドイツ・ヨーロッパ近現代史を研究する柳原伸洋さんが、文藝春秋PLUSの番組「+RONTEN」でドイツの現状を語り合った。(全2回の1回目/続きを読む

【ドイツは日本の未来か?】「移民国家ドイツ」と「島国ニッポン」移民難民問題では土台が違う|独裁政権を求める声も?|政治不信の背景にある物価高、政治不信とZ世代の怒り

(初出:「文藝春秋PLUS」2025年9月28日配信)

“リベラル”が難民問題を考え直す理由

「それまでリベラルな考えで、みんなが平等に共生をしていかないとダメだと言ってたのが、例えば自分の子どもの学校のグラウンドとか体育館が難民の人たちの滞留場になる。すると子どもたちは体育ができない。

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 そういう身近な、自分たちへの不利益のようなことが出てきた時に、やっぱり難民は受け入れてどうなのかみたいな問題にはなる」

柳原伸洋さん

 柳原さんは現在のドイツ社会をこう分析する。

マライ・メントラインさん

 マライさんは「イスラムなど宗教等の問題を全面に押し出して、差別を助長しようとするのが、AfDの戦略ではある」と指摘しつつ、問題の複雑さを語る。AfDは「ヨーロッパ的価値にイスラムはないんだ」と主張して支持を集めようとするが、実際の問題はより構造的だという。